Ikimono Dayori sono75
横沢入 生物季節(チョウ類編)
夏(7・8月) Page2
ネムノキやクサギでの訪花・吸蜜と湿地での吸水行動を紹介しましたが、猛暑を代表するチョウの行動といえば、樹液での吸汁です。
横沢入には樹液をたくさん出すクヌギが少ないため、ヤナギ類、コナラ、アカメガシワから出る樹液に集まってきます。
樹液に集まるチョウの代表は、タテハチョウの仲間のオオムラサキ、ゴマダラチョウ、アカボシゴマダラ、スミナガシ、ルリタテハ、キタテハ、ジャノメチョウの仲間のサトキマダラヒカゲ、クロヒカゲ、ヒカゲチョウ、クロコノマチョウなどです。
オオムラサキとゴマダラチョウは、越冬幼虫は比較的多く観察することができるのですが、成虫を観察できる機会は少なく、横沢入で樹液に集まっているところを写真撮影できていません。
オオムラサキは日本産タテハチョウ科の最大種で、「日本の国蝶」に指定され、普通切手のデザインになっていたこともあります。
成虫は年1回夏期に発生し、7月中旬から下旬が最盛期ですが、8月に入っても見ることができます。
詳しくは、「生きもの便り07 タテハチョウの王様、日本の国蝶オオムラサキ」を御覧下さい。
オオムラサキ ♀(撮影地:山梨県韮崎)
ゴマダラチョウは年2回発生し春型は5〜6月、夏型は7〜8月に観察することができます。
樹液に飛来しているところ意外では、植樹のエノキや雑木林の樹冠の周囲を滑翔しながら飛んでいるところや腐果で吸汁しているところを見かけます。
スミナガシはゴマダラチョウと同様に年2回発生し、春期〜夏期に観察することができます。
敏速に飛翔するため飛翔中に本種であることを確認することは難しいのですが、すぐに葉上に翅を開いて止まるため本種とわかります。
樹液に飛来しているところ意外では、獣糞や腐果で吸汁しているところを見かけます。
ルリタテハは年3回発生し、成虫越冬した個体を含めて春期〜秋期に観察することができます。
キタテハは多化性で、成虫越冬した個体を含めて早春〜晩秋まで観察することができ、横沢入で最も普通なタテハチョウです。
ゴマダラチョウ
アカボシゴマダラ
スミナガシ
ルリタテハ
キタテハ
サカハチチョウは、黒褐色地色に白色の斑紋が出現する夏型が、トラフシジミは翅裏面の地色が褐色になる夏型が姿を見せ始めました。
クロコノマチョウも夏型が発生しました。秋型に比べて外縁の突出が少ないことが特徴です。
セセリチョウでは夏型のヒメキマダラセセリやキマダラセセリなどに混ざって、ホソバセセリやオオチャバネセセリが姿を見せます。
ホソバセセリは年1回夏期のみに発生しますが、横沢入では個体数が少なく、観察することが難しいセセリチョウの一種です。
オオチャバネセセリは通常年2回発生し夏期〜秋期に観察することができます。
サカハチチョウ(夏型)
トラフシジミ(夏型)
クロコノマチョウ(夏型)
ホソバセセリ
オオチャバネセセリ
オオムラサキ ♂とキタテハ