Ikimono Dayori sono75
横沢入 生物季節(チョウ類編)
横沢入(東京都あきる野市横沢入)は、武蔵野段丘の最奥部に位置し、五日市丘陵とそれに囲まれた盆地とからなる地域で、2006年1月に東京都で第一号の「里山保全地域」に指定されました(詳しくは、生きもの便りその64 横沢入生物季節両生爬虫類編を参照)。
私も所属している「西多摩自然フォーラム」は、横沢入が里山保全地域に指定される以前から今日に至るまで、横沢入の保全活動や維持・育成管理・運営管理等に深く関わっている市民団体の一つです。
「西多摩自然フォーラム」の生物部会では、毎月1回(第2日曜日)、横沢入で定例調査会を行い、愉快な仲間達と一緒に、楽しみながら生きもの達の観察を行っています。
今回の生きもの便りは、「横沢入 生物季節 両生爬虫類編」に続き、定例調査会などで撮影した写真を基にチョウ類から見た横沢入の生物季節を紹介することにしましょう。
なお、横沢入のチョウ類は、2007年4月から2010年12月時点で、8科69種の生息を確認しています。
横沢入の最新情報や西多摩自然フォーラムの活用内容等は、下記のHPを参照して下さい。
東京の里山 横沢入通信ホームページ http://green.ap.teacup.com/yokosawa/
西多摩自然フォーラムホームページ http://ntforum.org/index.html
冬(12月〜2月)
冬の横沢入は、稲刈りの終わった谷戸田に薄氷が張り、畦道は霜柱で盛り上り、踏み歩くと氷の結晶が姿を表します。
計画的に刈り残されたヨシやガマは金色に輝き、北風にガサガサと音を立ててなびき、通り過ぎる風の道を教えてくれます。
ガマに止まって囀りながら存在を主張しているのはジョウビタキです。
上空に目をやると、張り詰めた青空を背景にノスリが旋回しています。
横沢入を訪れる人も少なく、四季を通じて最も静かな季節です。
冬の横沢入
ノスリ
林内に堆積した落ち葉をガサガサと音を立てながら踏みしめて歩くと、フユイチゴの赤い実やジャノヒゲの瑠璃色の実が濃緑の葉に映え、灰色の世界に彩を添えています。
樹皮や落ち葉を確かめながら、エノキを探して林縁や林内を歩きます。
オオムラサキとゴマダラチョウの越冬幼虫を観察するためです。
フユイチゴ
ジャノヒゲ
緩傾斜に生えた、大きなエノキの根元に腰掛けて、堆積したかさかさの落葉を取り除き、地面に近い少し湿った落葉を一枚一枚捲っていきます。
いました、いました。オオムラサキとゴマダラチョウの越冬幼虫です。
卵・幼虫・蛹・成虫と種によって違いはありますが、蝶々達は様々な工夫で寒い冬を乗り越え、暖かい春の訪れを待っています。
オオムラサキとゴマダラチョウの越冬幼虫
ジョウビタキ