Ikimono Dayori sono75
横沢入 生物季節(チョウ類編)
夏(7・8月) Page1
夏の横沢入は、長く続いた梅雨も明け、谷津に強い日差しが注ぎます。
谷津田の稲は強い日差しを受けてスクスクと育ち、畦や路傍にはヤブカンゾウが開花しています。
林縁では亜高木のネムノキやクサギが開花し、林床ではヤマユリやキツネノカミソリがひっそり咲いています。
夏の横沢入
林縁のネムノキやクサギに訪花し吸蜜を繰り返したり、湿地で吸水したりしている大きな黒いチョウは、アゲハチョウの仲間です。
モンキアゲハは、比較的近年になって北上定着した種で、後翅に大きな白斑があることで区別できます。
年2回発生し、春期〜夏期に観察することができます。
ナガサキアゲハは、近年急速に生息域を北に拡大しつつある種で、横沢入では2008年5月に始めて確認して以来、確認例が多く、定着しているものと考えられます。
尾状突起が無いことで他種と区別することができます。雌の前翅中室の基部には赤褐色の紋があり、後翅には白斑があります。
年3回発生し、春期〜秋期に観察することができます。
カラスアゲハは、前後翅表面に青緑色の鱗粉が発達し、前翅裏面に黄白色帯があることで区別できます。
年2回発生し、春期〜夏期に観察することができます。
ナガサキアゲハ ♂
カラスアゲハ ♂
クロアゲハ ♂
猛暑の中、湿地で吸水しているチョウはアゲハチョウの仲間だけではありません。
色々なグループのチョウが吸水を行ないます。
吸水行動は雄が行なうことが多く、水中に溶け込んでいる無機塩類を摂取している行動と考えられています。
横沢入で撮影した吸水行動中の写真を少しお見せしましょう。
クロアゲハ ♂
キアゲハ ♂
キチョウ
ルリシジミ
ウラギンシジミ ♂
テングチョウ
アカボシゴマダラ
ヒカゲチョウ
アカボシゴマダラは、横沢入においては2009年8月に始めて確認され、定着し個体数を増しながら今日に至っています。
関東平野を中心に分布拡大の著しいアカボシゴマダラは、奄美諸島に生息する亜種とは異なり大陸亜種で、人為的に持ち込まれた移入種(外来種)です。
詳しくは、「生きもの便り47 さまよえるアカボシゴマダラ」を御覧下さい。
モンキアゲハ ♂