Ikimono Dayori sono73
2010年 沖縄本島ラナウイルス・カエルツボカビ症調査紀行−2
雨音に混じって、沢のほうからピョウー・ピョウーと高く澄んだイシカワガエルの鳴き声が聞こえます。
ヤンバルに抱かれていることを実感する一時です。
リュウキュウアカガエル(Rana sp.)
ハナサキガエル(Odorrana narina)
足元から、リュウキュウアカガエルやハナザキガエルが飛び出します。
総勢10名で真夜中の登山道を歩いているのですから、カエルも驚くはずです。
前を歩く9名が雨と霧にかすみ、ヘッドライトや懐中電灯の光が白い線となって不規則に森や地面を照らしながら進んでいきます。
イシカワガエル(Odorrana ishikawae)
ホルストガエル(Babina holsti)
イシカワガエルやホルストガエルも姿を表しました。両個体とも最大級の大きさです。
フォーラムメンバーは、始めてみるイシカワガエルの大きさと美しさに驚いているようです。
イシカワガエルやホルストガエルを取り囲み撮影会の始まりです。
カメラを取り出すのをためらっていたのですが、このホルストガエルにはたくさんのヒルが付着していたので、撮影しておきましょう。
カエルやイモリにヒルが付着しているところはよく見るのですが、どのヒルも寄主よく似た体色や質感をしていることに驚かされます。
これで、早くも県指定の天然記念物のカエル3種を観察できました。
まあ、土砂降りの雨の中を歩いているのですから、これぐらいの御褒美を頂いてもいいでしょう。
皆が多くの生きものたちを観察し、よろこんでいる姿をみて、一安心のさくちゃんなのでした。
イモリ池に至る最後の坂の手前で、クロイワトカゲモドキ(Goniurosaurus kuroiwae kuroiwae)も見つけることができました。
北部産クロイワトカゲモドキ(成体) | 北部産クロイワトカゲモドキ(幼体) |
クロイワトカゲモドキは、冬期は活動が鈍いことから、この季節に見かけることの少ない種です。
数日前から気温が上がってきたので、登山道にも出てきてくれたようです。
それにしても、随分やせっぽっちの個体です。
お腹がすいて、のこのこ登山道に出てきたのかもしれません。
トカゲモドキは、キョクトウトカゲモドキGoniurosaurus属の一種Goniurosaurus kuroiwaeで、5亜種に分けられています。
沖縄島に生息しているのは、基亜種のクロイワトカゲモドキ(Goniurosaurus kuroiwae kuroiwae)です。
クロイワトカゲモドキ(基亜種)は、背面の斑紋に地域変異があり、得に沖縄島の南部産の個体とヤンバルのような北部産では顕著な違いがあります。
農大ヤド研メンバーが沖縄島南部で撮影した南部産クロイワトカゲモドキと伊平屋島に渡って撮影したイヘヤトカゲモドキ(Goniurosaurus kuroiwae toyamai)の写真を載せておきましょう。
顕著な違いがお分かりになると思います。
南部産クロイワトカゲモドキ(成体) | 南部産クロイワトカゲモドキ(幼体) |
イヘヤトカゲモドキ(幼体)
イヘヤトカゲモドキ(亜成体) | イヘヤトカゲモドキ(成体) |
皆から随分遅れてしまいました。
生きものを探しながらイモリ池に向けてゆっくり進みます。