その35 東南アジア・珍奇植物観察の旅(ボルネオ島キナバル山編)-7
Ikimono Dayori sono35
 東南アジア・珍奇植物観察の旅(ボルネオ島キナバル山編) Page7

 林床ではツリフネソウの仲間のプラティペターラ・ツリフネソウInpatiens platypetala)が咲いています。
 シャクナゲの仲間も綺麗な花を咲かせています。赤い花を付けたファラキーヌム・シャクナゲRhododendron fallacinum)やクラッシホリウム・シャクナゲR.crassifolium)、黄色い花を付けたレティベニウム・シャクナゲR.retivenium)が濃緑色の背景に映えて輝いています。

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プラティペターラ・ツリフネソウ ファラキーヌム・シャクナゲ クラッシホリウム・シャクナゲ レティベニウム・シャクナゲ
プラティペターラ・ツリフネソウ
ファラキーヌム・シャクナゲ

クラッシホリウム・シャクナゲ

レティベニウム・シャクナゲ

 標高が2500mを越え、蘇苔林(雲霧林)に入ると素晴らしいウツボカズラが姿を現します。
 最初に見つけたのがシビン・ウツボカズラNepenthes lowii)です。名前は良くありませんが、20cmもある捕虫嚢の入り口がトランペット状に開いた特異な形をしています。枯れた捕虫嚢を持つと、そのままコップとして使えそうです。ウツボカズラを現地語で猿の杯(Priokkra)
と言うのも納得できる名前です。
 足下には3cm程度の小さな捕虫嚢持ったウツボカズラも見つけました。個体や場所によって捕虫嚢に違いがあるため正確な同定は難しいのですがグラシリス・ウツボカズラN.gracilis)かもしれません。
 肉厚で開口部の周囲に歯状の忍び返しの付いた捕虫嚢持ったエドワードシアナ・ウツボカズラN.edwardsiana)も見つけまた。この忍び返しにひっかかったら小さな哺乳類や鳥類まで捕らえられてしまいそうです。
 エドワードシアナの捕虫嚢を丸くしたような捕虫嚢を付けているのはビロード・ウツボカズラN.villosa)です。この属の中では最も高所(標高3000m内外)に生育する種で、超塩基性岩地帯に特異的に分布しています。
シビン・ウツボカズラ
サンヨウベニボタル
エドワードシアナ・ウツボカズラ
ビロード・ウツボカズラ
上:シビン・ウツボカズラ
下:エドワードシアナ・ウツボカズラ
上:グラシリス・ウツボカズラ
下:ビロード・ウツボカズラ

 ウツボカズラ以外で人目を引くのは、ベゴニアの仲間のバービィッジ・ベゴニアBegonia burbidgei)です。湿った谷スジに生育し、可憐な純白な花を付けています。さすがに人気種。熱心に写真撮影する外国人の姿も見受けられます。種名はわかりませんが、巨大な葉とオレンジ色の花が特徴的な植物も見つけました。
写真
左上:バービィッジ・ベゴニア
:ベゴニアの写真を撮影している登山者
左下:巨大な葉とオレンジ色の花が印象的な植物
バービィッジ・ベゴニア
ベゴニアの写真を撮影している登山者
巨大な葉とオレンジ色の花が印象的な植物


文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
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