その35 東南アジア・珍奇植物観察の旅(ボルネオ島キナバル山編)-5
Ikimono Dayori sono35
 東南アジア・珍奇植物観察の旅(ボルネオ島キナバル山編) Page5

キナバル山の植物観察
 早朝に最後の見回りを行い、朝食を済ませてキナバルパークの公園本部(Park Headquarters)に向かいます。
 公園本部には、事務所や売店・レストラン、宿泊施設などが分棟で建っていてトレッキングルートや山岳植物園もあります。
 トレッキングルートは妻と歩いたことがありますが、ぶらぶらと散策するだけでも様々な動植物を観察することができます。

キナバルパーク公園本部 キナバルパーク公園売店 キナバルパーク公園事務所
キナバルパーク公園本部
キナバルパーク公園売店
キナバルパーク公園事務所
ビジターセンター内部 図鑑等を買い込む妻図鑑等を買い込む妻
宿泊施設
案内板 公園本部周辺の下部山地林
 

小さい写真は拡大写真あります

 谷部の薄暗い林床の倒木ではサンヨウベニボタルDuliticola sp.)の♀が這っています。サンヨウベニボタルの雌は、三葉虫を思わせる幼形で成熟し、7cm程度の大きさになるのですが、雄は1cm程度でベニボタル科の一般的な特徴を持った極端な雌雄異形の昆虫です。
 サンヨウベニボタルを探しながら歩いていると、妻が崖に作った小さな鳥の巣も見つけたこともあります。蝶々では、森林に生息する様々な種を見かけますが、ヒカゲチョウの仲間で珍種のダレナヒカゲLethe darena borneensis)も時折飛んでいます。

サンヨウベニボタル 崖地に作られた鳥の巣 ダレナヒカゲ
サンヨウベニボタル
崖地に作られた鳥の巣

ダレナヒカゲ


 植物では着生ランのデンドロキルム属やマメヅタランの仲間が見られ、ロビイ・マメヅタランBulbophyllum lobbii)は可憐な花を付けています。
 茎に棘がびっしりはえたツル性のヤシの仲間のロタンCalamus sp.)やシマオオタニワタリAsplenium nidus)も見ることが出来ます。ロタンは茎が籐家具の原材料となることで有名ですし、シマオオタニワタリは日本の南西諸島にも分布していて、その芽や若葉は食用として使用されます。
ロビイ・マメヅタラン
ニヌスカザリシロチョウ
ロタン
上:ロビイ・マメヅタラン 下:ロタン
シマオオタニワタリ

 林床では地生ランのトリコトシア属の仲間Trichotosia sp.)やパピローサ・セロジネCoelogyne papillosa)などが生育し、ランの宝庫だと言うことが伺えます。ラン以外では、ノボタン科のエリプティカ・フィラガティスPhyllagathis elliptica)を多く見かけました。

トリコトシア属のラン パピローサ・セロジネ エリプティカ・フィラガティス
トリコトシア属のラン
パピローサ・セロジネ
エリプティカ・フィラガティス


文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
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