Ikimono Dayori sono67
沖縄本島ラナウイルス・カエルツボカビ症調査協力紀行
19:30分「ゆいゆい国頭」で宇根先生と合流。夜間調査の開始です。
夜間調査の予定は、我々と先生の車2台で奥間農道から大国林道に入り、林道に出てきているカエルを見つけ、カエルツボカビ症検査のためのスワブ調査を行いながら与那覇岳を目指します。
林道に入り、時速4Km程度の歩くようなスピードで走ります。2台一緒に走っても意味がないため我々の車が先に進み、5分ぐらい後から宇根先生の車が同じようなスピードで走り、お互いがカエルを捜しながら進みます。
林道は、からからに乾いていて条件は最悪です。
走り始めて10分ぐらい経った頃でしょうか。
ヘッドライトに子猫ぐらいの動物が照らし出されました。ケナガネズミです。
ケナガネズミは、我々の車の10mぐらい前を、尻尾を優雅に上下に動かしながらゆっくり林道を横切り闇に消えていきました。
10秒〜15秒の短い時間だったと思いますが、とても長く神聖な時間に思えました。
ケナガネズミを見ることができたのは、これが3度目です。
ケナガネズミは、日本固有種で奄美大島、徳之島および沖縄本島北部に生息する、日本最大のネズミで、尻尾の長さを含めると60cm以上になります。
ケナガネズミは、出会うたびに神聖な生きものに思える動物ですが、写真撮影ができなかったことは残念です。
スワブ調査を行いながら、水汲み場までやってきました。
車を停めて、周辺を調査します。少ないながらカエルを捕獲しスワブ調査を行ない、水中を泳ぐエビを採取します。
ヒメハブがカエルを待ち伏せして水場の近くで陣取っていますが、ヒメハブも手持ち無沙汰の様子です。吉田君はここでもケナガネズミを目撃したようです。
与那覇岳登山口に到着後、駐車スペースに車を置いて登山道を歩きます。
ここからは、宇根先生に先を歩いてもらうことにします。
ハナサキガエルやリュウキュウアカガエルを見つけてはカエルツボカビ症のスワブ調査やラナウイルス分布調査の検体採取を行ないます。
コバネコロギス |
コバネコロギスが大きく飛び跳ねると、ヒメアマガエルと見間違えてしまいます。
カエルが少ないと、こういった昆虫までもがカエルに見えてしまうのだから、我ながら困ったものです。
普段は、撮影することの少ない昆虫ですが、この際撮影しておくことにします。
巨大なヒメハブやクロイワトカゲモドキの写真撮影を行ないながらゆっくり登山道を登っていきます。
クロイワトカゲモドキは、昨晩たくさん写真撮影したのですが、今日見つけた個体は完全尾が多かったため、ついつい時間が経つのを忘れて撮影してしまいます。
先を行く宇根先生たちと随分差が開いたようです。
ヒメハブ(Ovophis okinavensis) | クロイワトカゲモドキ (Goniurosaurus kuroiwae kuroiwae) |
先を急いでいると、ネズミが足元を走りぬけ、崖を登るのが見えました。
今までの経験から、逃げ去ったネズミを再度見つけることは難しいのですが、ブッシュを掻き分けて懐中電灯で逃げていった方向の崖を照らすと、小型のネズミがこちらを見ていではありませんか。
どうやら、オーバーハングしている崖で立往生しているようです。
同定には自信がありませんが、オキナワハツカネズミのようです。
オキナワハツカネズミは、国内では沖縄島のみに分布し、主に耕作地、草地、森林地などに生息しています。
こんなチャンスはめったにありません。
ネズミを驚かせないように、ゆっくり近寄ってシャッターを切ります。
何回かシャッターを切った時、オキナワハツカネズミは、草むらに逃げていきました。
ポツ・ポツと降り始めていた雨が、本降りになりました。
急いでイモリ池に向かい、宇根先生と合流。調査も一通り終わっていたので、沢をつめていた吉田君に連絡し下山することにします。
文と写真:佐久間 聡(さくまさとし)
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