Ikimono Dayori sono67
沖縄本島ラナウイルス・カエルツボカビ症調査協力紀行
5月29日
9時半から調査開始です。
4時前にホテルに戻り、酒を飲みながらデータを整理し、部屋の電気を消したのが5時ごろだったので、4時間しか寝ていません。
午前中の予定は、午後から宇根先生を案内する予定の与那覇岳の通称「イモリ池」の下見です。
イモリ池は、イグサ畑の跡地の湿地でシリケンイモリが多く生息していることからこの名前がついているのですが、土砂の堆積で乾燥化が進みシリケンイモリの個体数も徐々に少なくなっています。
与那覇岳登山口の駐車スペースに車を停めて、登山道を歩きます。
ヘリグロヒメトカゲ(Ateuchosaurus pellopleurus) |
吉田君は、崖でクモを捜したり、朽ち果てた倒木を崩したりひっくり返したりしながら森林性のゴキブリを捜しています。
時々倒木の下からヘリグロヒメトカゲが這い出てきます。
これらを写真撮影しながら、イモリ池に到着です。
イモリ池は、水深が深いところでも5cmぐらいしかありませんが、多くのシリケンイモリの幼生や成体、オキナワアオガエルの幼生が確認できました。
喜如嘉の七滝 |
これで一安心です。
ちょっと早いのですが、喜如嘉まで移動し、喫茶店の「小春屋」で軽く昼食を済ませ、七滝とシリケンイモリの生息状況を確認し、宇根先生との待ち合わせ場所の道の駅「ゆいゆい国頭」に向かうことにします。
うどんを注文し、「小春屋」の脇を流れる小川の上流でシリケンイモリを捜しながら七滝まで歩きます。
どうしたことか、たくさん生息していたシリケンイモリが、なかなか見つけられません。
やっとのことで数匹見つけることができましたが、季節的なことを考慮しても激減です。
七滝の近くで、眠そうな目つきのリュウキュウカジカガエルを撮影して、引き返します。
出来上がったうどんを食べながら、小春屋の店主の市田さんに尋ねてみると、「シークワーサー畑で農薬を使うようになったのが原因ではないか」とのこと。
カエルツボカビ症やラナウイルスが原因でなければよいのですが。
13:30分 予定通り宇根先生と合流。
全員の調査用具や長靴を消毒し、奥間農道から大国林道に入り、イモリ池に向かいます。
登山道を歩くこと30分。目的のイモリ池へ到着。
ザックを置いて、早速ラナウイルスとカエルツボカビ症分布調査の検体採取です。
シリケンイモリ成体とオキナワアオガエル幼生 | シリケンイモリ幼生 |
オキナワアオガエル幼体 (Rhacophorus viridis viridis) |
まずはシリケンイモリの採取です。
雌雄を確認しながら同数を採取するため、少し時間がかかってしまいました。
つづいて、オタマジャクシの採取です。
オタマジャクシはたくさん生息しているのですが、全てオキナワアオガエルのようです。
水際のクワズイモの葉上で、上陸直後の幼体も見つかりました。
オキナワアオガエルは、沖縄島・伊平屋島・久米島に分布するアオガエル科のカエルで、海岸付近の草地から集落や農地、山地部の樹林地まで幅広い環境に生息する止水産卵性のカエルです。
オタマジャクシの後は、トンボのヤゴの採取です。
全ての検体の採取が終わり、昼間の調査は全て終了です。
ホテルに戻り、夜の調査に備えることにします。
文と写真:佐久間 聡(さくまさとし)
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