Ikimono Dayori sono61
真夏の沖縄本島家族旅行 Page4
子供達を乗せて、瀬底島を後にしホテルに向けて北上します。
途中、芭蕉布の里として有名な喜如嘉の山辺にある小さなうどん屋さんで、遅い昼食をとることにします。
このお店は、Timさんとフィンランド人のAkiさんと訪れたことのあるところです。
テラスのテーブルで食事をしていると、ハイビスカスの花にナガサキアゲハやオキナワカラスアゲハが次々と吸蜜に訪れます。
食事を済まし、しばらく落ち着いて眺めていたのですが・・・白紋の発達したナガサキアゲハの雌が飛来したのを見つけた瞬間・・・・・スッ・スッ・スッ・スイッチ オ〜ン!
ムクッと立ち上がり、車へダッシュ。捕虫網と三角ケースを取り出して、白紋の発達したナガサキアゲハの雌やオキナワカラスアゲハの綺麗どころを次々にネットします。
通り採集し落ち着いたところで、食事を終えた家族とともにネットを振りながら、近くの七滝まで行ってみることにします。
喜如嘉の七滝 |
七滝までの道はアスファルト舗装され、側溝がU字溝のため多くの生きもの達が落ちて這い出せないでいます。
以前もここでTimさんと一緒に多くのシリケンイモリを救出した経験があります。
蝶々の採集をターチに任せて、U字溝を覗きながら歩いていると、いました・いました。
リュウキュウヤマガメです。
リュウキュウヤマガメは、昼行性の傾向が強く、昼間薄暗い林内や渓流を歩いている時に見かけることが多いのですが、以前にも同じように林道の側溝に落ちている個体を救ってやったことがあります。
リュウキュウヤマガメは、沖縄島・渡嘉敷島・久米島の固有の陸亀です。国指定の天然記念物のため触ることも禁止されているのですが、そのままにしておくと死んでしまうため、七滝の近くまで運んで、写真撮影後リリースしてやりました。
リュウキュウヤマガメ(Geoemyda japonica) |
海岸線に沈む夕日 |
約10年前に初めて子供達をヤンバルに連れてきた時も2匹のヤマガメを救ってやったのですが(生きもの便りバックナンバー1999年沖縄本島山原生きもの紀行参照)、妻や子供達はその時の事をしっかり覚えていてくれました。
さて、そろそろホテルに戻ることにします。
ホテルに到着後、妻とあやちゃんはスパでアロマセラピー・ボディートリートメントとお肌のお手入れ。
残されたターチとさくちゃんは、夕日のビーチをお散歩です。
昨日に増して綺麗な夕日です。
すっかり日が暮れて、夜間観察の時間です。
雨が降ったり止んだりで、両生爬虫類の観察には絶好のコンディションなのですが、妻と子供達は、ホテル主催の花火大会を見るために夜間観察はパス。
さくちゃん一人寂しく(実は伸び伸びと)出発です。
昨夜は林道に出てきている生きものを観察しただけだったので、今夜は林道で観察後沢歩きをすることにしましょう。
最初に姿を現してくれたのはハナサキガエルです。
遠くから見てもそれと分かる姿です。
近づくと車のライトに驚いて大きくジャンプを繰り返し、視界から消えてゆきます。
久しぶりの雨のため、今夜は多くの個体が林道に出てきていました。
ハナサキガエル(Rana narina) |
オキナワアオガエル(Rhacophorus viridis viridis) |
昨夜は姿を表さなかったオキナワアオガエルも姿を現しています。
オキナワアオガエルは、沖縄島・伊平屋島・久米島に分布しています。
近縁種にアマミアオガエルとヤエヤマアオガエルがいますが、アマミアオガエルは奄美大島・徳之島に、ヤエヤマアオガエルは石垣島・西表島に分布しています。
雨が降り続いているため、あちこちで鳴き声が聞こえます。
林道にもたくさん姿を現してくれているのですが、路面にへばりついた姿勢は被写体としては難有りです。
沖縄県指定天然記念物のイシカワガエル、ホルストガエル、ナミエガエルの3種も、林道や沢で観察することができました。 イシカワガエルは、沖縄島北部の固有種です。 緑色の地色に金紫色の斑紋がある大型種で、日本のカエルの中で最も美しいカエルと言われています。 |
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イシカワガエル(Rana ishikawae) |
ホルストガエルは、沖縄島北部と渡嘉敷島の固有種です。 基色は茶褐色で、体側に黒色のまだら模様がある大型種です。 時々、グゥー・グゥー・グゥー・グヲンッと、とてもとカエルとは思えない鳴き声で楽しませてくれます。 奄美大島と加計呂麻島に近縁種のオットンガエルが生息しています。 |
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ホルストガエル(Rana holsti) |
ナミエガエルは、イシカワガエルと同様に、沖縄島北部の固有種です。 山地渓流性のカエルで、山地の源流部に生息し水生傾向の強い種ですが、降雨時は林道にも姿を現します。 主にエビやサワガニなどの甲殻類を捕食するためか、頭部が大きく、下あごに一対の犬歯状の突起をもっています。 |
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ナミエガエル(Limnonectes namiyei) |
昨夜たくさん観察することができた、クロイワトカゲモドキは、今夜も絶好調。
林道や沢で、昨夜に負けず多くの個体を観察することができました。
クロイワトカゲモドキ(Goniurosaurus kuroiwae kuroiwae) |
ルビーのような瞳、原始的な風格を漂わせる斑紋、まさにイボイモリや上記のカエル同様に南西諸島を代表し、世界に誇る生きものたちです。
クロイワトカゲモドキは、日本が誇るキョクトウトカゲモドキGoniurosaurus属の一種Goniurosaurus kuroiwaeで、以下の5亜種に分けられています。
- 沖縄島・古宇利島・瀬底島:クロイワトカゲモドキ(Goniurosaurus kuroiwae kuroiwae)
- 久米島:クメトカゲモドキ(Goniurosaurus kuroiwae yamashinae)
- 伊平屋島:イヘヤトカゲモドキ(Goniurosaurus kuroiwae toyamai)
- 渡名喜島・渡嘉敷島・阿嘉島・伊江島:マダラトカゲモドキ(Goniurosaurus kuroiwae orientalis
- 徳之島:オビトカゲモドキ (Goniurosaurus kuroiwae splendens)
種の解説は、生きもの便りバックナンバー2007年イボイモリ観察紀行を参照して下さい。
なお海外には、中国(広西省・海南島)にゴマバラトカゲモドキ(Goniurosaurus luii)が、ベトナム北部にアシナガトカゲモドキ(Goniurosaurus araneus)が、中国とベトナムにまたがるトンキン湾の島にスベノドトカゲモドキ(Goniurosaurus lichtenfelderi lichtenfelderi)とその海南島亜種(Goniurosaurus lichtenfelderi hainanensis)が分布しています。
イボイモリが多産する沢にも入りたかったのですが、雨が強くなり写真撮影もできない状況になったため、後ろ髪をひかれつつ今夜の観察は終わることにします。
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