さくちゃんの生きもの便り(その6)
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さくちゃんちの沖縄本島山原(ヤンバル)いきもの紀行
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林道に入って車のスピードを時速10km位に落とし、動植物の説明や自然環境の説明をしながら進みます。まるで自然解説員「インタープリター」の様です。日没が近くなってきたので沖縄本島固有の陸亀「リュウキュウヤマガメ」を毎年見つけることができるポイントで引返すことにします。車を停めて家族に「この様な環境にヤマガメが生息していて、この道路の側溝(U字溝)にときどき落ちて |
いるんだよ」と言って側溝を覗き込んだら・・・何かが動いています。リュウキュウヤマガメです。それも2匹。子供達は大喜びです。リュウキュウヤマガメは国指定の天然記念物だから、本当は触ったり捕まえたりしてはいけないのですが、そのままにしておくと死んでしまうため、捕まえてU字溝の無い安全な環境へ放してやりました。
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※これらの写真は、クリックすると拡大写真が表示されます。
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6月11日 |
朝食を済ませて一路ヤンバルの森へ。林道に入って妻と運転を代わり、私と子供達は捕虫網を持って歩きます。最初に見つけたのが木の葉に擬態していることで有名なコノハチョウです。でもこの蝶は沖縄県指定の天然記念物なので採集してはいけません。子供達は、あちこちと走り回って次々と蝶々を採集してきます。随分採集が上手くなったなーと感心しました。私の所に持ってくる度に、その蝶々の説明をしてやります。「この蝶はツマムラサキマダラといって、最近沖縄に住み着いた蝶々だよ。光に当てると紫に光るでしょ」「この蝶はウラナミジャノメみたいだけどリュウキュウウラナミジャノメといって、沖縄にしかいない蝶々だよ」等々。蝶々以外では、渓流沿いをカラスヤンマが滑空しています。ヒラタクワガタも見つけました。シリケンイモリやリュウキュウキノボリトカゲも見つけました。木の枝に大きな巣を張っているのはオオジョロウグモの雌です。小さな雄もいます。このクモの雌は、足を含めると子供の掌より大きくなる立派なクモです。 |
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リュウキュウウラナミジャノメ
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カラスヤンマとヒラタクワガタ
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カラスヤンマとヒラタクワガタを持つ子供達
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シリケンイモリ
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リュウキュウキノボリトカゲ
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オオジョロウグモ
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家族全員で楽しい時間を過ごしてホテルに帰り、午後はプールとビーチでのんびり過ごし、日没後、いよいよ一人で両生爬虫類の調査と観察の始まりです。 |
目的地の林道に入って、車の速度を時速4km程度に落としてゆっくりゆっくり進みます。まず最初に出会ったのが全長が2m近くあるアカマタというヘビです。赤と黒の縞模様が綺麗な無毒のヘビですがとても気が荒いヘビです。 |
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次に出会ったのがなんとクロイワトカゲモドキです。原始的なヤモリの仲間で沖縄諸島の固有種、沖縄県の天然記念物に指定されています。 |
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ヒメハブ
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リュウキュウカジカガエル
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続いてハナサキガエル、ナミエガエル、ホルストガエルと沖縄諸島固有の山地渓流系のカエルのオンパレードです。繁殖期は過ぎていますが、日本で一番綺麗なカエルといわれているイシカワガエルも鳴いています。ナミエ、ホルスト、イシカワの3種のカエルは、10cmを越える立派なカエル達で、沖縄県の天然記念物に指定されています。特にイシカワガエルは、ダム開発等で生息数が少なくなっていて、一夜でこの3種が見れたのはとてもラッキーでした。 |
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ナミエガエル
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ホルストガエル
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イシカワガエル
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イシカワガエルの鳴き声を頼りに沢を詰めて行きます。ライトの光とそれにより強調される闇の恐怖。見たことのない動物達やその生態を垣間見たい好奇心。色々な思いが錯綜しながら一歩一歩慎重に進んでいきます。やっとライトの光の中にイシカワガエルの姿を捕らえました。カメラを構えて近づきます。ハンドライトを置いてカメラを構えた瞬間、イシカワガエルは少し跳ねて草むらに入ってしまいました。いくら探しても見つかりません。あの派手な色彩は、草むらや苔蒸した岩の上では保護色になっているのです。
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この沢で、カエルやヘビの写真を撮りながら沢を歩いていたときです。ふと見た木に、光るものが付いています。クロイワボタルです。娘が理科の授業でホタルの勉強をしているので1匹採集して帰ることにしました。足場の良い所でライトを消しました。するとどうでしょう。沢山のホタルが飛び交っています。空は都会では見ることのできない満点の星空です。明日の夜は、妻や子供達にもこの光景を見せてやろうと心に誓ってこの沢を後にしました。 |
クロイワボタル
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その後入った別の場所で、いきなり5m位前方の草むらからリュウキュウイノシシが飛び出してきて、腰が抜けるほど驚かされました。完全に意気消沈。これで今日の調査は終わりです。時計を見ると午前2時を回っていました。 |
6月12日 |
目的は、日本で一番美しいトカゲといわれるバーバートカゲの観察と採集です。昨日も子供達が見つけてくれたのですが、動きが早くてなかなか捕まえられませんでした。今日が最後のチャンスです。広場に着いて早速1匹見つけましたが、すぐに林の中に入ってしまいます。なればと、林縁を歩いて広場の方に誘い出す作戦に切り替えて、まんまと1匹採集しました。何と美しいトカゲでしょうか。ニホントカゲにも似てますが尾の青の濃さ等が違います。リュウキュウキノボリトカゲも1匹採集しました。 |
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さて、いよいよ最後の夜です。昨日ホタルを持って帰ったのがよかったのか、今夜は家族全員でホタル観察です。途中で夕食を買い込んで、通い慣れた真っ暗な林道をゆっくりゆっくり進みます。車のヘッドライトの光の中にヤモリやカエル達が映し出されます。その度に子供達が叫びます。小枝がヘビのように見えます。実際にヒメハブも見つけました。もう車の中は大興奮状態です。子供達は、昼間に活動する動物と夜間に活動する動物の違いを実感しているようです。
6月13日 この紀行文では書きませんでしたが、ここ沖縄でも多くの野生動物達が開発により住処をなくしています。林道や一般道では多くの野生動物がひかれたり、側溝でひからびて死んでいます。海には依然として赤土が流出し、珊瑚が死滅しています。この素晴らしく貴重なヤンバルの森が、動物達の住処として、また人間に知的好奇心や感動、また、自然への謙虚な気持ちを呼び起こしてくれる森として、次世代に引き継がれることを願って止みません。 では、沖縄本島生きもの紀行はこれで終わります。次回は日本のタテハチョウの王様、国蝶オオムラサキの話しをします。お楽しみに。 |
1999年6月26日
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文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
お便りの宛先は、saku@youchien.net です。 |
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