Ikimono
Dayori sono57 |
冬の沖縄本島生きもの観察紀行 Page6 |
来日してからハードスケジュールをこなしているMaxさんの体調に配慮して、体力を消耗する沢歩きはやめて、2台の車で林道を流しながら生 きものを観察することにします。 昨晩と同様に路面が湿っているため、多くの両生爬虫類が観察できるはずです。 林道に入ってゆっくり車を進めます。 先を進むさくちゃんの車のヘッドライトに、林道の真中に鎮座する大きなカエルが照らし出されました。 おそらくイシカワガエルです。 ここは、最初にTimさんとMaxさんに近づいてもらうことにしましょう。 大きさといい、美しさといい、二人とも感激して、シャッターを切っているようです。 さくちゃんは、車の中から二人の様子を見て、昼間のイボイモリやこのイシカワガエルなどを観察させてあげることができたという充実感と安心感が交差して、ニヤリと微笑んでいるのでした。 それではここで、どのように夜間撮影をしているのか、その様子をお見せしましょう。 |
イシカワガエルの撮影風景 |
写真左上は、さくちゃんがイシカワガエルを撮影している様子を、ストロボをたかないでTimさんが撮影してくれたものです。イシカワガエルにスポットが当たっていますが、これはMaxさんがライトを照らしてくれているからです。 一人で観察するときは、真っ暗な中で、左手でライトを持って被写体を照らし、右手だけで撮影しているのです。 写真左下は、Timさんがストロボをたいて撮影したものです。いつもはこのような写真を載せていますが、実際は真っ暗な中で、懐中電灯の明かりだけをたよりに観察し、撮影しているのです。 写真右は、Maxさんがイシカワガエルを撮影している様子をさくちゃんが撮影したものです。 ヘッドライトを付けると両手が使えるのですが、特に夏場はヘッドライトをめがけて昆虫が集まってくるため、撮影どころではなくなってしまいます。 |
イシカワガエル |
その後も、多くの両生類が姿を現してくれたのですが、特にイボイモリが多く出てきていたのには驚きでした。 形態的に見て、全て雄のようです。昼・夜とも多くのイボイモリを観察できて、Maxさんは、さぞかし満足したことでしょう。 |
イボイモリ |
両生類以外では、アカマタが時々姿を表してくれます。アマミヤマシギも昨晩と同じ場所に出てきていました。 |
アカマタを撮影するMaxさん | アカマタ |
アマミヤマシギは、Timさんのお気に入りの鳥なので、車から降りてしきりにシャッターを切っています。 2m位まで近づいても逃げない、おっとりした鳥で、愛嬌も十分です。 |
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アマミヤマシギ |
ゆっくりと、観察に時間をかけながら進み、午前中に観察していたシリケンイモリのポイントに到着しました。 午前中と同様に、多くのシリケンイモリが繁殖行動の真っ盛りです。 TimさんとMaxさんは、夢中でシリケンイモリの繁殖行動を観察し写真撮影を行なっています。 さくちゃんは、午前中にたくさん撮影したので、シリケンイモリ以外の生きものを捜すことにしましょう。 リュウキュウアカガエルが水中から顔を出し、アカマタが這っています。次々と撮影しながら進みます。 カエルを狙っているのでしょうか、ヒメハブ(Ovophis okinavensis )が、水中から顔を出しています。 ヒメハブは、奄美諸島と沖縄諸島(隆起珊瑚起源の島を除く)に分布するヤマハブ属の毒蛇で、湿潤な渓流周辺や水田近くで見かけます。夜行性で、待ち伏せしてカエルを中心に捕食します。 これまでにヒメハブは観察していないので、TimさんとMaxさんを呼んで、しばらく観察することにしましょう。 |
ヒメハブ(Ovophis okinavensis ) |
3人で、思い思いに撮影しますが、ヒメハブはピクリとも動きません。 おやおや、シリケンイモリがヒメハブに近づいてきて、背中に乗ってしまいました(笑) でも、ヒメハブは「あたしゃーカエル以外は興味ないけんねー」と言わんばかりに、知らん振りをきめています。 これには、みんな大笑いです。 面白い写真も撮影できたので、ここでの観察はこれで終わりにします。 |
この後は、与那覇岳でイシカワガエルの繁殖を観察して今晩の観察を終える予定だったのですが、徐々に雨脚が強くなり、土砂降り状態で観察を続けられる状況ではなくなってしまいました。 残念ですが、最後にオキナワアオガエルを観察した時点で、今晩の観察を終えることにしました。 |
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オキナワアオガエル |
文と写真:佐久間 聡(さくま さとし) |