Ikimono
Dayori sono57 |
冬の沖縄本島生きもの観察紀行 Page5 |
与那覇岳の沢でイシカワガエルの繁殖状況とイモリ池でシリケンイモリの集まり具合をチェックして待ち合わせ場所の道の駅に向かいました。 ところが・・・待ち合わせ時間を過ぎても、TimさんとMaxさんは現れません。 なんだか嫌な予感がしたので、Timさんの携帯に電話を入れてみました。 すると〜 「さくまさ〜ん・・・高速道路乗り間違えて・・・南に行っちゃったよ・・・あと30分位かかっちゃうね。こめんね〜」 沖縄の高速道路は、那覇からだと南北に走る1路線だけだから、迷う事はないだろうと思っていたのですが、南に行っちゃうとはね・・・ブツ・ブツ(笑) 待つこと30分。ようやく2人の姿を確認してほっと一息。 初めて会うMaxさんと挨拶を交わし、長靴を消毒して、イボイモリの観察開始です。 何時も観察している沢の近くに車を停めます。Timさんに通訳してもらって、イボイモリ(Echinotriton andersoni )の生態や生息環境について解説しながら進みます。 |
「昼間は、石の下に隠れていて・・例えばこの様に平たい石の下に隠れていることが多いんですよ」と言って、その石をはぐると・・・観察開始1分。 最初にはぐった石でイボイモリを発見!中国に生息するイボイモリと同属のチンハイイボイモリ(Echinotriton chinhaiensis)を研究しているMaxさんは大興奮・大感激です。 色々な角度から写真撮影をしながら、質問を投げかけてきます。 この個体の雌雄は?何歳ぐらい?・・・・・等など |
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イボイモリを観察中のMaxさん |
県指定の天然記念物のため、総排出孔を広げて見ることはできませんが、形態的特徴からおそらく雄のようです。 時間を見計らって、ゆっくり移動します。 さくちゃんがイボイモリを見つけて、TimさんとMaxさんが写真撮影するというパターンでイボイモリの観察を続けます。 |
イボイモリ(Echinotriton andersoni ) |
複数の個体を観察して、継続して調査を行っているポイントまでやってきました。 ここからは、TimさんとMaxさんにイボイモリを捜してもらうことにしましょう。 最初は自由に捜してもらっていましたが、どうもうまく見つけられないようです。 こうなったら、しかたありません。完全にここ掘れワンワンの犬と化して、「Tim!Tim! このトタンを ワン・ワン」てな調子です。 やっと、見つけてくれました(笑) 毎年挨拶しているトタンの主との対面です。 |
イボイモリを観察するTimさんとMaxさん |
次はMaxさんの番です。 「Max!Max! このガレ場の石の下はあやしいよ ワン・ワン」 2人で石をはぐっていきます。 まずい! あろうことか、さくちゃんが先に見つけてしまいました。 しまったなーと思っていると、近くの石の下でMaxさんが別の個体を見つけました。 これで全員が自力で??イボイモリを見つけたことになります。 |
ガレ場の石の下に隠れていたイボイモリの雄と雌 |
日が西に傾き、林内も随分暗くなってきたため、これでイボイモリの観察は終わることにします。 実質3時間弱の観察時間で、10頭近くのイボイモリを観察することができました。 車までは、イボイモリの繁殖環境の解説を行いながら進みます。 この時期、イボイモリの卵や幼生は確認できないのですが、Maxさんは繁殖環境について熱心に質問し、写真撮影を続けます。 水中の落葉を掻き分けると、ナミエガエルとリュウキュウカジカガエルの幼生が確認できます。 水辺に堆積している落葉でイボイモリの幼体を捜してみますが、見つけることはできませんでした。でもMaxさんが上陸直後のナミエガエルの幼体を見つけてくれました。 |
ナミエガエルの幼体 |
その後、リュウキュウカジカガエル(Buergeria japonica )の成体とオキナワキノボリトカゲ(Japalura polygonata polygonata )の幼体を観察して車に到着です。 |
リュウキュウカジカガエル | オキナワキノボリトカゲ |
車で辺土名まで移動し、Timさん達が宿泊予定の民宿を探して、一時解散。 夜7時に再度待ち合わせをして、長靴を消毒後、夜間観察の開始です。 |
文と写真:佐久間 聡(さくま さとし) |