Ikimono
Dayori sono57 |
冬の沖縄本島生きもの観察紀行 Page1 |
2007年10月27日 Timさんから「重大なお願いがあります」と言う妖しげな件名のメールが届きました。 嫌な予感・・・・おそるおそるダブルクイックすると |
「 12月の下旬に、オランダのライデン大学でイモリを研究している Max Sparreboom 教授が来日するので一緒に沖縄に行きませんかと誘われました ルン・ルン。 できたら佐久間さんも是非一緒にヤンバルで観察しましょう!・・・・・・ って言うか〜 是非案内してくださ〜い! よろしくお願いしま〜す! 東京出発は22日で24日までの観察になりますけど、どうでしょうか?是非、是非!おねがいしま〜す ルン・ルン 」 |
予感的中! 笑いながら、こんな大変なお願いするな! と怒りつつも、心優しきさくちゃんは、「Timさんのガイドだと、イボイモリは絶対無理だし・・・多くの生きものを観察するのは難しいだろうなー」 「せっかくオランダから来日するのだから、成果が少ないとかわいそうだしなー」 「中国に生息するチンハイイボイモリの情報もほしいしなー」などと、ちょっぴり下心も覗かせながら、渋々と首を縦に振ってしまうのでした。 12月21日 街はイルミネーションで飾り付けられ、クリスマスムード一色です。 デモ・デモ・デモ・デモー そんなの関係ねえー・そんなの関係ねえー・そんなの関係ねえー ハイ・チェックイン! てな勢いで、那覇行きの飛行機に揺られること3時間弱。仕事疲れで爆睡の中、無事那覇空港に到着。 空港で機内預かりの荷物を受け取り、予約していたレンタカーに乗り込んで、高速道路を使って一気に北部を目指します。 TimさんとMaxさんが入島し、北部で合流するのは明日22日の午後。 今日はのんびり北部の状況を概査して、夜は一人でゆっくりと両生爬虫類の観察を行う予定です。 まずは、大宜味村の道の駅でバナナを購入し、続け腹ごしらい。そのまま北上して、県道2号から林道に入ってさらに北上し奥集落まで向かいます。 林道に入ってからは、速度を緩めて生きものの観察を行いながら進みますが、イボイモリの観察は、TimさんMaxさんと合流するまでお預けです。 生きもの便り55でお知らせした、奥川源流部の違法伐採地が見渡せる尾根線に車を停めて、様子をうかがいます。 |
表土が侵食され、赤土が露出している違法伐採現場
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予想通り、降雨によって表土が侵食され、赤土がいたるところで露出しています。 雨が降るたびに、奥川に大量の土砂が流れ込み、多くの生きものたちに影響が出ているものと思われます。 こうしてまた、沖縄の固有性の高い生物の多様性が失われていくのです。 まだ時間は早いのですが、ホテルにチェックインし、夜間調査に備えることにします。 午後7時、懐中電灯や蛍光灯、カメラのメモリーやバッテリーをチェックし、ストロボに電池を入れて準備完了。 土砂降りの雨の中、ホテルを7時半に出発。国道58号を北上し、予那から右折して県道2号に入ります。 道路脇の高木でヤンバルクイナがけたたましく鳴いています。車を停めて懐中電灯で辺りを捜しますが、姿を見つけることはできませんでした。 ちょっと残念ですが、今晩は気温も高いし雨も降っているため、多くの両生類が林道に出てきているに違いありません。 車を走らせ、いつもの林道に入ります。 林道に入ると、すれ違う車もなくヤンバルの自然の独り占め。ゆっくりと車を走らせながら生きもの観察の始まりです。 |
文と写真:佐久間 聡(さくま さとし) |