その27 冬の徳之島、イボイモリ採集の旅-5
Ikimono Dayori sono27
冬の徳之島、イボイモリ採集の旅 Page5

 ホテルが用意した夕食を済ませ、祝杯前にもう一がんばりの夜間調査です。調査場所は午前中に観察した原生林内の林道で、目的はカエルの写真撮影です。林道に入って、車をゆっくり走らせながら生きものを探します。
 林道の水溜まりでは小さなカエル達が車のライトに反応して、飛び跳ねます。車から降りて種を確認すると、リュウキュウアカガエルニホンカジカガエル(リュウキュウカジカガエル)です。これらの小型のカエルを狙ってガラスヒバァも集まっています。一通り撮影を終えて先へ急ぎます。
 何しろ、ホテルの部屋には冷えたシャンパンが「あたし飲みごろよー」と手招きしているのですから。
林道の水溜まり
リュウキュウアカガエル
ニホンカジカガエル
小型のカエルを狙って集まっていた
ガラスヒバァ

アマミハナサキガエル♂
アマミハナサキガエル♀
抱接中のアマミハナサキガエル
 林道をかなり詰めた頃から、ピーヨ・ピーヨと独特なカエルの鳴き声が渓流から聞こえてくるようになりました。ハナサキガエルの鳴き声です。車から降りて鳴き声の方向に進むことにしました。やっぱりいました。アマミハナサキガエルです。
 沖縄のハナサキガエルと比べると、一回り以上大きく立派なカエルです。特に雌は巨大です。
 徳之島では既に繁殖期に入っているらしく、渓流のそばに多くの雄や雌が集まっています。抱接中のペアもいます。これらを狙ってヒメハブも沢山集まっています。ヒメハブを踏みつけないように近寄って写真撮影をしました。アマミハナサキガエルは奄美大島でも撮影したのですが、その時撮影した夜間調査時のフィルムを無くしてしまい、生きもの便りに載せられなかった因縁のカエルだったのです。
 思いがけなくアマミハナサキガエルの繁殖にも出くわせたので、これにて全ての調査は終了です。明日は島内を観光して、帰路につくことにします。
 ホテルの部屋で手招きしていたカリカリに冷えたシャンパンがあっという間に空いてしまったことは言うまでもありません。
 
アマミハナサキガエルを狙って集まっているヒメハブ


文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
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