その27 冬の徳之島、イボイモリ採集の旅-4
Ikimono Dayori sono27
冬の徳之島、イボイモリ採集の旅 Page4

 さてイボイモリの方はというと、沖縄本島北部産と同じ様な生息環境で、ここなら2〜3匹は硬いでしょ!!と叫びたくなるような場所で、散々調査して、1匹も見つけられずに12時を回ってしまいました。
 どうやら沖縄本島北部産とは生息環境が随分違うようです。
 仕方ないので昨日と同じ様な環境を見つけて調査することにします。車で移動し、調査を始めて直ぐのことです。さっそく茅の下で1匹見つかりました。別の粗大ゴミの下で2匹追加等、「こんなところにいるなよー!」と思いながらも、結局7匹まで追加しました。最後の1匹は足先等の褐色が赤色になった極美の♂を妻が見付けたところで終了です。

妻が見付けた美形イボイモリ♂
同腹部と総排出腔
肋骨が発達した♂
 
 採集した20匹近い全ての個体は、性別、寸法を記録し、室内繁殖に必要な数だけ持ち帰り、残りはリリースすることにしました。
 改めて採集した個体を眺めると沖縄本島北部産とは形態や大きさの違いが顕著です。
 徳之島産の特徴をおおざっぱに言うと、沖縄北部産と比べて2周り以上小さく、頭でっかちで、肋骨の発達が著しいため平べったい印象を受けることです。体色は黒〜黒褐色で指先等の明褐色部が鮮やかに出現する傾向があります。
 まあ、大きさ的には迫力に欠けますがイボイモリらしいイボイモリで、そのかっこよさはイボイモリ属No1です。
それにしても生態も形態も違うのにどうして誰も記載していないのか不思議でしかたありません。虫屋だったらさっさと記載してしまうのに・・・・・。小型のサンショウウオにしても名前が付いていない種が色々いるし・・・・・。
 大先生達のくだらない派閥争い等に遠慮しないで、アマチュアや若手学者がさっさと記載すれば両生爬虫類の世界も、もっともっと活性化し、報文や研究論文も随分増えるのになーと思うのだけれど。何れにしても名無しのごんべいでは不便でしかたありません。
 話が脱線しましたが、2日間の充実した調査成果の祝杯をあげるために、シャンパンを買い込みホテルに戻りました。
肋骨の先端に明瞭な斑紋が現れている♂
イボイモリ♀
同腹部と総排出腔



文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
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