その27 冬の徳之島、イボイモリ採集の旅-2
Ikimono Dayori sono27
冬の徳之島、イボイモリ採集の旅 Page2

 水溜まりの近くにはイボイモリが隠れていそうな石は有りません。でも、農道の凸凹を整えるために道路脇の茅を刈り取って沢山敷いてあります。生息の可能性は低いと思いつつも手鍬ではぐってみることにしました。するとどうでしょう。茅の下にイボイモリがいるではありませんか。調査開始1分。1回目の鍬入れで1匹ゲットです。
イボイモリの生息環境  なんでこんな所にいるのー?と妻も呆気にとられています。それもそのはずです。妻も沖縄本島北部産の生息環境を熟知しているのですから。
 その後は徹底的に路上の茅をはぐりましたが2匹目のドジョウには至りませんでした。でもこの地域に生息していることが確認できたことは重要です。可能性の有りそうな場所を徹底的に調べます。
 農道の最終地点に近いところ、山裾のサトウキビ畑の際に、収穫後の直径4cmぐらいのサトウキビが山積みになった場所がありました。幾ら何でも竹のように硬くてゴロゴロしている下にはいないだろうと思いつつ掘り返してみることにしました。
茅を積んである下
ドラム缶の下
 手鍬で掘り起こすたびにカランコロンと乾いた音がします。妻が「東南アジアの竹製風鈴の音色と同じ音ねー」と笑いながら手伝ってくれます。一山を全て掘り返し「やっぱいないよなー」と思って腰を上げた時です。ふと、今まで嗅いだことのあるイボイモリの臭いがしたように感じました。「ん?臭いがする!!」「あやしいの?」と言う妻に「本当にイボイモリの臭いがしたんだよねー。いそうもないけどなー」と言って別の山を掘り起こし始めたときです。2匹のイボイモリがサトウキビの下から出てきました。結局2つのサトウキビの山から4匹を採集することが出来ました。
イボイモリの生息環境 サトウキビの下
 その後は、農道を引き返しながら粗大ゴミが捨ててある場所をひっくり返したり、茅が捨ててある山を掘り返したりして調査し、あっという間に10匹を採集しました。時計を見るとまだ3時半です。実質2時間半の調査で今回の採集目的数の8匹は確保しました。
最初に見つけたイボイモリ♂
茅の下に隠れている様子

 遅い昼食を済ませ、まだ時間は早いのですが、明日の調査地である原生林の下見をしました。その場所は、地形図で目星を付けていた箇所なのですが、原生林の状況といい、渓流や沢の状況といい、沖縄本島北部で養ったイボイモリの生息環境の知識とぴったしの場所です。二次林であれだけ生息しているのだったら、ここでいったい何匹見付けられるんだろー・・・・・と思いを巡らせてホテルに向かいました。
 ホテルでチェックインと夕食を済ませや午後8時から夜間調査のスタートです。でも、昼間が予想以上の成果だったので今一気合いが入りません。北部の県道や農道を車で流して調査する事にしました。

 気合いが入らないと、やっぱり成果も良くありません。食べると美味そうな巨大モクズガニヒメハブを見つけただけに終わりました。
巨大モクズガニ
ヒメハブ


文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
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