その26 秋の沖縄本島山原(ヤンバル)生きもの紀行-6
Ikimono Dayori sono26

秋の沖縄本島山原(ヤンバル)生きもの紀行 Page6

 昼食後は昼寝と海で一泳ぎをして、午後の4時ぐらいから出発し、そのまま夜間調査に突入です。
 夕方のにわか雨で道路が湿っていて、昨晩よりは好条件です。今晩の予定は、林道をゆっくり走りながら道路に出てきている生き物を観察し、季節的には難しいのですがクロイワトカゲモドキが多く生息しているポイントで成体を観察することです。
 林道に入って最初に見付けたのはおとなしい毒蛇のヒメハブです。つづいては、ヒメハブとは対照的に気の荒い無毒のアカマタです。これらは2種とも琉球列島の固有種です。
ヒメハブ
アカマタ

 両生類では、お馴染みのニホンカジカガエルやハナサキガエルがお出迎えです。少ないながらリュウキュウアカガエルオキナワアオガエルも姿を現してくれました。
 上記の4種の内、ニホンカジカガエル以外のは琉球列島の固有種です。オキナワアオガエルは、ハナサキガエルと同じように種分化が進んでいて、沖縄諸島にオキナワアオガエルが、奄美諸島にはアマミアオガエルが、八重山諸島にはヤエヤマアオガエルがそれぞれ分布しています。

ニホンカジカガエル
(リュウキュウカジカガエル)
リュウキュウアカガエル
オキナワアオガエル♂
オキナワアオガエル♀

 クロイワトカゲモドキが多く生息しているポイントでは、車から降りて探しましたが、崖の穴から顔を出している数個体を確認しただけで、2人に見せてやることも写真撮影することも出来ませんでした。
 まだ時間は早いのですが、奥間の物産センターの駐車場脇で揺れていた赤提灯のライトトラップに誘われて、早々にひきあげる3人なのでした・・・・・沈没!!。

10月28日
 昨夜の深酒で何時ホテルに帰って寝たのか記憶がありません。
 地元の人達と島酒を酌み交わし、差し入れを頂いたりして楽しい一時を過ごしたことは確かです。
 寝不足と深酒で頭はガンガン、出発前にひいていた風邪もぶり返したような最悪のコンデションなのですが、明け方の5時に出発です。目的地についてボロボロの体にむち打って、急斜面を藪こぎすること1時間。谷まで降りて鳥類を観察しますがめぼしい成果はありませんでした。
車に轢かれた巨大アカマタ
 ただし林道で巨大なアカマタのロードキルに出会ったのと、ハナサキガエルの正面アップの写真を自然光で撮影できたのはラッキーでした。
ハナサキガエルの正面アップ
ハナサキガエルの側面

 これで全ての観察は終了です。
 ホテルに戻り、昼前にホテルをチェックアウトし、お土産を漁りながら那覇空港に向かいます。空港に向かう車中で2人が、「佐久間さん・・・・・今度は何処に行きますか?また一緒に行きましょうよ」と話し掛けてきます。
 そうです。かれらは完全に南西諸島病(沖縄病とも言う)に感染しています。この病気は、少なくとも1年間に1回は南西諸島を訪れないと、禁断症状が起き、仕事が手に着かなくなり、深い溜息が止まらなくなるという恐ろしい病気なのです。
 二丁上がり!! これで病気仲間がまた2人でき上がりました。
 でもこれは決して私のガイドが良かったからではありません。私はちょっとだけ彼らが扉を開くのを手伝ってあげただけなのです。
 南西諸島の多様で豊かな自然は、少しでも扉を開けてその様を垣間見ると、誰もが虜になる魅力的な自然なのです。
 皆さんも機会があれば、是非扉を開けてみて下さい。

 今回の生きもの便りに使用した写真の一部は、しろちゃんともりちゃんが撮影したものを使わせてもらいました。ありがとう。
 次回の生きもの便りは、12月の上旬に訪れる徳之島の話をしたいと思っています。ひょっとしたら年明けの掲載になってしまうかもしれません。

11月30日 さくちゃんこと佐久間聡


 
文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
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