その26 秋の沖縄本島山原(ヤンバル)生きもの紀行-1
Ikimono Dayori sono26

秋の沖縄本島山原(ヤンバル)生きもの紀行 Page1

 10月26日から28日までの3日間、秋の沖縄本島に行って来ました。
今回の目的は、毎年観察を続けている渓流でイボイモリの生息状況を確認することと、今年繁殖し上陸した両生類の幼体を観察する事なのですが、実はもっと大切な目的があります。それは、会社で主に自然環境調査を担当している2人を山原(ヤンバル)の原生林に案内し、南西諸島病(南西諸島のとりこ)に感染・発病させてしまうことです。
 同行者は、九州男児で自然環境調査の現場頭的存在のしろちゃんと若手ホープのもりちゃんです。歳は随分離れていますが、自然を愛する気のあった仲間達です。現在2人とも仕事の関係で猛禽類にはまっているようで、色々な機材を持ち込んでの沖縄入りです。
ヒカゲヘゴを見上げるしろちゃん
 
 
完全武装のもりちゃん
イボイモリを探すさくちゃんこと著者
 10月26日早朝、妻に空港まで送ってもらい2人と合流後、朝一便で羽田を出発し、9時30分に那覇に到着しました。羽田空港から那覇空港までの移動中は、テロの不安があるものの、天候もよく奄美大島や徳之島などを眺めながら那覇空港に降りたちました。
 空港で機内預かりの荷物を受け取り、車をレンタルして、まずはおきまりのコースで牧志の公設市場に直行です。2人とも沖縄が初めてなので、市場の八百屋や魚屋、肉屋などを覗いてカルチャーショックを受けているようです。無理もありません。魚屋には生きた夜光貝やヤシガニまで売っているのですから。

八百屋
肉屋
魚屋
惣菜屋

 市場内を一通り見終わった後で、お馴染みの漬物屋で2種類の島らっきょうを買い、総菜屋で酒のつまみと夕食のおかずとしてゴーヤチャンプルー、紅芋の天ぷら、ラフティー、グルクンの唐揚げ等を買い込み、市場の2階で早めの昼食を済ませました。
 珍しい亜熱帯の食材に触れ、美味しい沖縄料理に舌鼓を打ち、2人ともとても満足しているようです。しめしめ・・・・・つかみはOK!! これでヤンバルの原生林に連れて行けばいちころです。
 さて、那覇から高速道路で北部に向けて出発です。
 今日の昼間の予定は、いつも通っているヤンバルの渓流でのイボイモリ生息調査です。僕の目論見としては、今日の昼間にしっかりイボイモリを調査しておいて、明日からは2人のために鳥類観察の案内役に徹するつもりなのです。
 高速道路を降りて、名護や宿泊予定の奥間を素通りし、通い慣れた林道脇に車を停めました。逸る気持ちを抑えて、念入りに調査の準備をし、渓流に向けていざ出発と思った時です。草むらでしろちゃんがマングース用のトラップを見付けました。
 現在沖縄では、野生化したマングースが固有種を捕食し、生態系に混乱をきたしています。名護市辺りまで分布を拡大していると聞いたことがありますが、林道等の改変地を利用して分布をどんどん北上させているのかもしれません。
 固有種が多く生息しているヤンバルでマングースが増えたら大変なことになってしまいます。マングースには何も罪はないのですが、徹底した駆除対策が必要です。マングースのトラップを撮影して渓流に向けて出発しました。
マングース用トラップ


文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
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