その26 秋の沖縄本島山原(ヤンバル)生きもの紀行-3
Ikimono Dayori sono26

秋の沖縄本島山原(ヤンバル)生きもの紀行 Page3

 そうこうしている内に、一昨年、昨年と多くのイボイモリを観察しているポイントに到着しました。でもやっぱりイボイモリは見つかりません。今年の春にこの場所を訪れた仲間が、1匹しか確認できなかったと言っていた事が思い出されます。もしかするとこのポイントは、大雨や長雨で長い間冠水してしてしまったのかもしれません。
 仕方なく、ここで折り返して対岸の少し標高の高い所を調査しながら下って行くことにします。
 下り初めてすぐのことです。
 大きな石の下でやっとイボイモリを1匹見付けました。全長が14cmに達する立派な♂の成体です。さっそく2人を呼び寄せてお披露目です。
 「これがイボイモリじゃー、凄いじゃろー、初めての沖縄でイボイモリが見られるなんて幸せ者なのだぞー、誰のおかげじゃー、感謝せー、ガッハッハー」てな具合に・・・・・(内心は見せてあげられてホッとしたのでした)。
 1匹発見できると、衰えかけていたやる気が不思議と湧いてきます。みんなファイトもり・もり・・・・・で、もりちゃんが全長16cmの最大級の♀を含む2匹の成体を、しろちゃんが1匹の成体を、私が全長7cmの亜成体と5cmの幼体を追加し、計6匹を観察することができました。


最初に見付けたイボイモリ♂の成体
イボイモリ♀の成体
イボイモリの亜成体
今年上陸したと思われるイボイモリの幼体

 日が傾き薄暗くなってきたので、そろそろやめようかと話していた時です。がれ場のように堆積した石を丹念にひっくり返していたしろちゃんが何かを見付けたようです。
近寄って覗き込むと可愛いオレンジストライプの生きものが石の下に隠れています。クロイワトカゲモドキの幼体です。昼間の観察でクロイワトカゲモドキやその幼体を見るのは初めてだったので、手に乗せて記念撮影をしました。
クロイワトカゲモドキの幼体
クロイワトカゲモドキの幼体アップ
 さすが、調査部員!!2人共、生きものを見付ける感覚はなかなかなものです。
 渓流での観察はこれでおしまい。
 夜間調査のために林道の状態を確認し、定宿にしている奥間にあるリゾートホテルに向かいました。ホテル到着後、事前に送っていた夜間調査用具を受け取ったり、どたばたと夕食を済ませると8時近くになってしまいました。
 夜間調査開始の時間です。


文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
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