Ikimono Dayori sono80
2012年梅雨明け直後の沖縄本島両生爬虫類観察紀行−4
6月23日
8時30分に起床。家族でビーチを散歩します。
グンバイヒルガオやオカヤドカリを撮影しながら歩いていると、シロノセンダングサの花にクロマダラソテツシジミが飛来しました。青い海を背景に写真撮影です。
クロマダラソテツシジミは、南アジアから東南アジアの熱帯・亜熱帯に広く分布しソテツの新芽・新葉を食べて育つシジミチョウの仲間なのですが、日本では2006年以降から南西諸島で継続的に発生し、2009年には関東地方でも一時的に発生した迷蝶です。
詳しくは「ソテツの新葉を求めさまようクロマダラソテツシジミ」をご覧ください。
ビーチサイトのレストランで朝食を済まし、コテージに戻ることにしましょう。
のんびりと家族で過ごした一時から、一転、1時間後には仲間達とやんばるの渓流で汗まみれ泥まみれになりながら動物を観察しているのだから、そのギャップに思わず苦笑してしまいます。
グンバイヒルガオとオカヤドカリ
ビーチで記念写真
オカヤドカリを撮影するターチ
ビーチの風景
10:00 道の駅「道の駅ゆいゆい国頭」で中川君、いがちゃん、新井さんと合流。
今日の昼間の予定は、午前中は与那川源流域でイボイモリ等の観察、午後は東村に移動して新川川上流域でイボイモリ等の観察です。
2台の車で、与那川源流域に向けて出発です。
道路脇に車を停め、調査用具をザックに詰め、カメラをセットし、手鍬を持って未舗装の林道を進みます。
昨晩の雨で下草が濡れ、ものすごい湿度です。
オキナワキノボリトカゲ(Japalura polygonata polygonata)が時々姿を現し、我々を和ませてくれます。オキナワキノボリトカケは、奄美群島・沖縄群島に分布するアガマ科のトカゲで、どの地域でも個体数が減少しています。
林道を歩くメンバーとオキナワキノボリトカゲ(Japalura polygonata polygonata)
林道と細流が並走している区間に差し掛かりました。この細流は毎年イボイモリやシリケンイモリが産卵するのですが、イボイモリが優占しています。
この日は、イボイモリとシリケンイモリの幼生やナミエガエルの卵塊を観察することができました。
細流でイボイモリの幼生を観察しているメンバー
ナミエガエル(卵塊)(Limnonectes namiyei)
観察を続けながら先に進みます。リュウキュウハグロトンボが飛び交い、渓流が近いことを知らせてくれます。
リュウキュウルリモントンボも姿を現しました。両種とも渓流には普通に生息していますが奄美・沖縄諸島の特産種です。
渓流沿いの砂地を歩くと、オキナワハンミョウが渦を巻き輝いて見えます。
数えきれないほどの生息密度なのですが、なかなか撮影できません。
やっとのことで、クワズイモの葉にとまった個体を撮影することができました。
リュウキュウハグロトンボ
リュウキュウルリモントンボ
オキナワハンミョウ
渓流を上流へ向かって歩きます。
ヤンバルには、この様な渓流がたくさんあります。
ヤンバルに建設された数多くのダムは、下流域の住宅や宿泊施設ならびに農地に水道水や農業用水を安定供給しているのですが、多くの渓流環境やそこに暮す動植物の生息・生育の場が失われたことを忘れてはいけないと思います。
ヤンバル内の渓流
クロマダラソテツシジミ