Ikimono Dayori sono80
2012年梅雨明け直後の沖縄本島両生爬虫類観察紀行−2
カエルで最後に姿を現してくれたのは、リュウキュウアカガエル(Rana ulma)です。
リュウキュウアカガエルの学名はRana okinavanaでしたが、研究が進み、リュウキュウアカガエル Rana ulma(沖縄島、久米島)とアマミアカガエル Rana kobai(奄美大島、徳之島)の2種に別れました。
平地から山地までの森林や水辺に生息し、以前は比較的普通に観察することができたのですが、近年は、生息個体数が減少しているようで、繁殖期以外は観察や撮影する機会が少なくなってきたカエルです。
リュウキュウアカガエル(Rana ulma)
まだイシカワガエルを観察していないのですが、カエルの観察も少し飽きてきたので、そろそろクロイワトカゲモドキを捜すことにしましょう。
路肩やコンクリートブロック積にライトを当てながらゆっくり車を走らせます。
捜し始めて10分もたたない内に、クロイワトカゲモドキ(Goniurosaurus kuroiwae kuroiwae)を見つけましたが、とことこと走り、路肩部分から姿を消しました。
まあこんな時は、林道下のコンクリート壁面に止まっていることはお見通しです。
順番に林道下に降りて写真撮影をしました。
コンクリート壁に貼りついているクロイワトカゲモドキとそれを撮影するターチ
両生爬虫類以外では、ケナガネズミが時々林道を横切りますが、カメラをセットする前に高所へ逃げられてしまいます。
林道に多くのカエルが出てきてくれたおかげで、与那覇岳登山道入り口の駐車スペースに到着するのがすっかり遅くなってしまいました。
駐車場に車を停めて与那覇岳登山道を進みます。
前を歩く4名のヘッドライトや懐中電灯の光が白い線となり、不規則に地面や林縁を照らしながら進んでいきます。
新井さんは、念入りに登山道脇に生育する中低木の葉を照らしながらクモを捜しているようです。
さくちゃんも新井さんの真似をしてクモを捜してみますが、見つけられるのは昆虫ばかり。
トゲナナフシ
オビベニホシシャク
オオトモエ
さっさとあきらめて両生爬虫類を捜します。
先を行くメンバーに追いつき歩いていると、黒い生きものがライトに浮かび上がりました。
イボイモリ(Echinotriton andersoni)です。
夜中でもオブジェクトの下にひそんでいることが多いのですが、雨上がりなので出てきたのでしょう。
イボイモリは原始的なイモリで、第三紀に繁栄していたグループの遺存種と考えられています。
近縁種チンハイイボイモリ(Echinotriton chinhaiensis )が、中国浙江省の鎮海城湾と瑞岩寺周辺に分布しており、大陸(中国)と琉球列島の地史的関連を示す種として動物地理学上重要な種です。
沖縄県の沖縄島、瀬底島、渡嘉敷島、鹿児島県の奄美大島、徳之島、請島に生息しており、両県の天然記念物に指定されています。
イボイモリ(Echinotriton andersoni)とそれを撮影するいがちゃん
懐中電灯の明かりに驚き飛び跳ねる小さなカエルはリュウキュウカジカガエル(Buergeria japonica )です。
リュウキュウカジカガエルは、トカラ列島口之島以南の南西諸島に広く分布し、海岸付近からの集落や農地、山地部の樹林地まで幅広い環境に普通に生息しています。
リュウキュウカジカガエル(Buergeria japonica )
コバネコロギス