Ikimono
Dayori sono51 |
トウキョウサンショウウオ観察日記 Page3 |
確認された卵嚢と成体をカウントし、池の中にリリースします。 次のポイントは、雑木林内の谷戸の中を流れている複数の細流です。 この辺りの雑木林は手入れが行き届いていて実に気持ちのいい林です。 川辺にはニリンソウがひっそりと開花し、林縁にはスミレサイシンが咲いています。 |
ニリンソウ |
スミレサイシン |
何組かのグループに分かれて細流を調査します。 ザックを置いて、思い思いに成体や卵嚢を調査したり撮影したりしてすごします。 |
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バットに入れた成体と卵嚢 |
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卵嚢と成体を撮影する徳田さん |
皆で昼食後、別のポイントに移動して調査を続けます。 原田さんが抱接中のタゴガエルを見つけました。 細流の石の下や水際の穴の中からグッ・グッ・グッと鳴き声も聞こえます。 タゴガエルも繁殖の季節です。 |
抱接中のタゴガエル |
タゴガエルは、本州、四国、九州の丘陵から山地に生息しています。 繁殖期は4月〜5月で、細流や渓流の岩の隙間や落葉の下、湧水が流れ出る穴の中などに産卵します。孵化したオタマジャクシは、餌を食べないで蓄えられた卵黄の栄養のみで成長し変態します。 全てのポイントの調査を完了し、一斉調査もこれで終了です。 今年はいつもの年より卵嚢数が少なかったようですが、これからも産卵することが予想されるため例年並になるのかもしれません。 しかし、明らかに土砂の堆積や植生遷移が進み乾燥化が著しい繁殖場が多くなっていますし、落葉が堆積し富栄養化が進んでいる繁殖場も多くなってきています。 トウキョウサンショウウオをはじめとして里地里山に生息生育する生物種群は、雑木林管理や池の浚渫等、人為的な維持・育成管理を行なわなければ衰退してしまう生きものなのです。 そろそろ、維持管理や育成管理を行なわなければいけない時期なのかもしれません。 |
文と写真:佐久間 聡(さくま さとし) |