その44 奄美大島・請島生きもの観察紀行−請島編− Page6
Ikimono Dayori sono44

奄美大島・請島生きもの観察紀行−請島編− Page6

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 国道を北上し、お持ち帰り用のシリケンイモリを採集するために、以前さくちゃんが綺麗なシリケンイモリを複数採集した場所に向かいます。
 林道に入ると、道沿いのイジュの花が満開でアサギマダラが飛び交っています。林道から緩やかな流れが見えたので、車を停めて調べてみることにします。

  加計呂麻島の遠景
イジュの花とアサギマダラ
 
加計呂麻島の遠景
イジュの花とアサギマダラ
 水中にはシリケンイモリが散見できます。林内の倒木をひっくり返してイボイモリを探しますが、ヘリグロヒメトカゲがチョロチョロするだけです。念のために水際に厚く堆積している落ち葉を手鍬を使って退けてみます。すると、小さなヘビが這い出してきました。アマミタカチホです。比較的珍しいヘビなので写真撮影を試みますが、ストロボの調子が悪く断念しました。
 その後も同じ様な環境で2匹のアマミタカチホを観察することが出来ました。アマミタカチホの好適生息環境見付けたり!!気分をよくして次の場所に移動です。
アマミタカチホを観察した環境
アマミタカチホを観察した環境
 車に乗り込んでポイントを探しながらゆっくり進んでいると、2頭のリュウキュウイノシシが林道を横切り茂みに逃げていきました。
 Timさんがカメラを持って茂みを探しましたが見つかりません。クロウサギ、トゲネズミ、イノシシ・・・多くのほ乳類を観察したのに結局1種も撮影できませんでした。ほ乳類の撮影は難しいなー。

 さて、目的の池に到着。時間的にもここが最後の観察場所です。池の周辺は樹木が茂り、水際はシダやコケに覆われた、理想的なシリケンイモリの生息環境です。所々でコモウセンゴケも開花しています。
 Timさんは、船酔いも回復し、気合い十分です。さっそく胴長に履き替えています。準備完了。Timさんは腰まで水に浸かりながら池の中から、さくちゃんは長靴を履いて水際からシリケンイモリを観察します。

シリケンイモリを観察した環境 コモウセンゴケ
シリケンイモリを観察した環境 コモウセンゴケ
シリケンイモリの採集(Timさん) シリケンイモリの採集(Timさん)
 
シリケンイモリの採集(Timさん)
 観察と写真撮影を済ませた後は、全身が金色のスポットや銀緑色のスポットに覆われた個体、オレンジのストライプが太く出た個体等をセレクトして採集します。
 Timさんの網さばきがあまりにもぎこちないので、どの様にすると上手く採集できるのか、実演をしながら教えてあげます。
 Timさんは綺麗な個体を見付けては、これは凄い、オー何これ・・・信じられない・・・・凄くキレイ・・・の連発です。
 見ている方も嬉しくなってしまいます。
 奄美大島の個体群では、通常5%位の割合で上記に様な綺麗な個体が混ざるのですが、このポイントでは10%以上の割合で混ざっています。
 結局、40匹位をセレクトしながら採集し、写真撮影後、さらにその中から20匹をセレクトして持ち帰り、残りはリリースしました。
 綺麗な個体が沢山採集できてTimさんも大喜びです。

アマミシリケンイモリ    
アマミシリケンイモリ(細かな銀色のスポットに覆われた個体) オレンジ色のラインが出た個体 赤色のラインとスポットが多く出現したシリケンイモリ
細かな銀色のスポットに覆われた個体
オレンジ色のラインが出た個体
金色のスポットに覆われた個体

 さて、そろそろ時間です。服を着替えて、荷物を整理し空港に向かうことにします。
 車の前をアカショウビンが横切りました。
 ハンドルを握りながら、南西諸島は本当にいいなーとつくづく思うさくちゃんなのでした。

 今回の観察旅行は、スケジュール的にはハードなものでしたが、天候にも恵まれて、大変多くの生きものを観察することができました。
 また、それにも増して、Timさんが南西諸島の豊かな自然に触れ、感動し、満足してくれたことが、なにより嬉しく有意義な旅でした。
 Tim・・・楽しかったね!!今度は何処に行こうかね(笑)

 今回の生きもの便りに載せた写真の多くはTimさんが撮影したものを使わせてもらいました。ありがとう。

10月13日 さくちゃんこと佐久間聡


文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
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