その44 奄美大島・請島生きもの観察紀行−請島編− Page4
Ikimono Dayori sono44

奄美大島・請島生きもの観察紀行−請島編− Page4

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 山に登って多くのハブさんにご挨拶をするか、集落近くでカエルやシリケンイモリを観察するか迷ったのですが、同好の友人であるHさんからタシロヤモリの採集を頼まれていたし、我慢しきれずにビールも飲んでしまったので、集落周辺を散策することにします。
 玄関で長靴を履いていると、おばあが塩を掛けてくれました。昔から夜、山に入るときは、塩で体を清めるのだそうです。
 おばあのあたたかい気持ちに感謝して、まずは、水田に向かいます。集落内の道でアカテガニの仲間を撮影しながら進むと、人気のない道路に袋を持ったおじさんが現れました。何事かとたずねるとハブが出たとのこと。
 これはラッキー。捕獲風景を撮影させてもらうこととします。
アカテガニの仲間
アカテガニの仲間※拡大なし
集落道に現れた巨大ハブ
集落道に現れた巨大ハブ
 ハブの捕獲の一部始終はこんな感じ。
   
1: 道路を横切る大きなハブを発見
2: ハブ棒で逃げないように誘導
(写真撮影のため)
3: ハブ捕り棒で挟んで捕獲
4: 専用容器に納めて終了
   
捕獲されたハブは、血清をつくるために4000円で役場に引き取られるとのこと。
集落道に現れた巨大ハブ ハブが逃げないように誘導
ヘビ採り棒で挟んで捕獲 専用ケースに入れて終了(さくちゃんほっと一息)

 おじさん達にお礼を言って、水田に向かいます。オカヤドカリがいたのでこれも撮影。
 昼間に確認しておいた水田にライトを当てます。すると、複数集まっているシリケンイモリの中に、赤色のラインと斑紋が鮮明に出ている個体が見えます。
 シリケンイモリの基亞種でこの様な個体は見たことがありません。この個体は慎重に採集し写真撮影。
 その後も水田に近接した用水路で同じ様な個体を複数確認しました。
 奄美大島の個体群では、淡いオレンジ色のラインや斑紋が出現する個体はたまに見かけますが、この様なハッキリした赤色の斑紋が出た個体は見た記憶がありません。
 さて、シリケンイモリの採集と観察を終えて、次は友人のHさんに頼まれていたタシロヤモリの採集です。
シリケンイモリを探すさくちゃん※拡大なし
オカヤドカリ 赤色のラインとスポットが多く出現したシリケンイモリ
オカヤドカリ
赤色のラインとスポットが多く出現したシリケンイモリ

 集落内の街灯で見回り、捕虫網を使って採集します。ほとんどの街灯にはタシロヤモリが2・3匹集まっています。一時間ぐらいで15匹程度採集しましたが、オンナダケヤモリも1・2匹混ざっているようです。
 まあ、これだけ採集すればいっか。これで、今日の観察予定は全て終了です。
 民宿に戻って、汗を流した後でビールで乾杯。民宿の壁にも、窓明かりに集まった昆虫に誘われて、多くのタシロヤモリリュウキュウカジカガエルが集まっていました。
街灯に集まっているタシロヤモリ
タシロヤモリ
リュウキュウカジカガエル
街灯に集まっているタシロヤモリ
上:タシロヤモリ
下:リュウキュウカジカガエル
 明日はいよいよ最終日です。
 6月6日の観察に続く

文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
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