その29 春の沖縄本島山原(ヤンバル)生きもの紀行−3
Ikimono Dayori sono29

春の沖縄本島山原(ヤンバル)生きもの紀行 Page3

※生きものたちの写真をクリックすると拡大表示します
4月6日
 いつもだったら、夜明け前にホテルをスタートし鳥類の観察に出かけるのですが、しろちゃんの体調が悪く早朝調査はパス。
 のんびりと朝食をとって昼間の調査のスタートです。昼間のターゲットはもちろんイボイモリです。
目的地の近くに車を停めて、ザックを背負って歩き始めます。
ヒカゲヘゴ
沢での観察風景

 何となく車を停めた林道脇に堆積している落ち葉が気になったため、念のために手鍬で掻いてみます。
 するとどうでしょう。ミミズに混じって暗褐色の生きものが動いています。生きもの便り初登場のブラーミニメクラヘビです。

ブラーミニメクラヘビ
 

 小さくてミミズにそっくりですが、これでもヘビの仲間です。近くでよーく観察すると、体鱗に覆われているし、退化しかかっていますが目だってあります。時折、舌をちょろちょろ出して周りを窺う仕草からもそれと分かります。
 ブラーミニメクラヘビは、熱帯から亜熱帯地域に広く分布していますが、日本ではトカラ列島以南の南西諸島や小笠原諸島に分布しています。落ち葉等の堆積した下の地中に穴を掘って生活しているため、なかなか目にすることの少ないヘビです。
 出だし好調。次はイボイモリの番です。

 いつものように水場近くの石をどんどんはぐっていきます。シリケンイモリは見つかりますが、肝心のイボイモリは一向に見つかりません。かれこれ一時間近く経過し、黄色信号が点滅しはじめた時のことです。下流から念入りに探していたT君がVサインをしながら近づいてきます。そう・・・イボイモリ第一号は、イボイモリを一番観察したかったT君が見付けたのでした。その後、しろちゃん・Yちゃん組もイボイモリクロイワトカゲモドキの幼体を見付け、私も2匹のイボイモリとクロイワトカゲモドキの幼体を見付けることができました。

 シリケンイモリ

イボイモリ
イボイモリの顔
クロイワトカゲモドキ幼体
クロイワトカゲモドキ亜成体

 まだ、午後の2時を少し回った頃なのですが、それぞれが写真撮影も済ませたようなので、早々に昼間の調査を切り上げることにしました。
 昼間にクロイワトカゲモドキの幼体〜亜成体をガレ場で見つけたのはこれで3回目です。このことは、クロイワトカゲモドキの野生下での産卵場所を暗示しているように思えてなりません。
 これで、第二関門のイボイモリを完全クリアーし、第三関門のクロイワトカゲモドキを1/2クリアーすることができました(成体ではないので1/2カウント)。


文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
お便りの宛先は、delias@ss.iij4u.or.jp です