その29 春の沖縄本島山原(ヤンバル)生きもの紀行−1
Ikimono Dayori sono29

春の沖縄本島山原(ヤンバル)生きもの紀行 Page1

 4月5日から7日までの3日間、春の沖縄本島に行って来ました。
 今回の目的は、毎年観察を続けている渓流でイボイモリの生息状況を確認することと、昨年10月の沖縄行と同様に会社仲間3人を山原(ヤンバル)の原生林に案内し、原生林の素晴らしさや、そこに生息・生育する生きもの達の多様さを紹介することです。
 同行者は、去年の10月に同行し完全に南西諸島病の重症患者に成長した?しろちゃんと僻地放浪病を既に持病として抱えているT君、それと車両荒らしにあって、鬱憤晴らしのために何故か付いてきたサーファー娘のYちゃんの3人です(前回参加したもりちゃんは、めでたく結婚が決まり準備が忙しいらしく、みんなにからかわれながら今回は不参加)。
 ちなみに私はというと、T君からは、「佐久間さーん、イシカワガエルの成体とイボイモリは見られるかナー」Yちゃんからは「クロイワトカゲモドキの成体が観たーい」、しろちゃんは前回同様に「ヤンバルクイナとノグチゲラのリベンジを・・・」てな感じで、高い関門に相当なプレシャーを抱えての沖縄行なのでした。
 さてさて、どんな珍道中になることやら・・・。

南西諸島病の重症患者に成長した?しろちゃん
僻地放浪癖を持病に抱えるT君とサーファー娘のYちゃん

H14年4月5日(金曜日)
 ちなみに今日は長女の中学校入学式の日です。
 そのため同行の3人には朝1の飛行機で沖縄入りし、公設市場で買い出し等を済ませておいてもらい、娘の入学写真を撮影するために遅れて出発する私を、空港で拾ってもらう段取りです。
午後3時に那覇空港で3人に合流。
 荷物を積み込むためにレンタカーのトランクを開けた瞬間、漂う島ラッキョウの臭いに微笑みながら、一路山原目指して出発したのでした。

 今日の予定は、日暮れ前に渓流や林道を概査し、夜から本格的な観察をスタートするつもりなのですが、あわよくば日暮れまでにイボイモリの1匹でも見つけられればと内心は思っています。
 高速道路をおりて、名護や宿泊予定の奥間を素通りし、通い慣れた林道脇に車を停めます。時計を見ると5時を少し回っていたため、逸る気持ちを抑えて渓流に向けて出発しました。原生林の新緑が綺麗で心身が高揚します。
山原の新緑
 渓流に着いてまず最初に出迎えてくれたのは、水辺でとぐろを巻いていたヒメハブです。なんかやな感じだナーと思いつつも前回同様に植生や生きものの説明をしながら渓流に下りていきます。初めての2人にイボイモリの生息環境を説明し、少しだけ探しては見たものの、やっぱり見つかりません。薄暗くなってきたため、あっさりとあきらめてホテルにチェックインし夜間調査に備えるのでした。
通い慣れた沢の風景



文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
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