その48 春の沖縄本島生きもの観察紀行−2
Ikimono Dayori sono48

春の沖縄本島生きもの観察紀行 その2−2

 水際の苔生した崖では、複数の雌が産卵しています。シリケンイモリの産卵場所は、主に水中の草・落ち葉・苔と紹介している文献が多いのですが、実際は水際や陸上の苔などにも、ごく普通に産み付けるのです。
 水中では、複数の雄が雌をめぐって団子状態で求愛行動をしていたり、美形のペアが求愛行動をしています。

北部産としては綺麗なカップル
メスの前足に噛付き求愛するオス

 どこを見ても、シリケン・シリケン・シリケン、何百匹のシリケンイモリを観察したでしょうか・・・・もーお腹いっぱい、脳味噌飽和状態です。
 そろそろ、シリケンイモリの観察をやめて、夜間観察に備えることにします。
 感じの良い喜如嘉のレストランで早めの夕食をとり、夕暮れを待って夜間観察の開始です。
 今夜の予定は、2台の車で奥間から大国林道に入り北上しながら県道2号まで観察。Timさん達はそこで観察終了して那覇に移動し、那覇泊。さくちゃんは、Timさん達と別れた後で、県道2号からさらに北上し、奥集落まで観察する予定です。
 林道は夕立後で湿っており、絶好のコンデションです。生きもの達も多く林道に姿を表しそうなので、Timさんの車を先に走らせ、自力で生きものを見付けてもらうことにします。まあ、実施練習と言ったところかしら(笑)。
 Timさん達の車が見えなくなってからスタートし、いつものようにゆっくり車を走らせます。
 時々道路脇に、オキナワアオガエル、リュウキュウカジカガエル、ハナサキガエルが姿を表します。車から降りて写真撮影です。
 先を走っているTimさんは見逃したんだろうなー。まだまだ甘いナーと苦笑いしながら車を走らせます。
 しばらく進むと、Timさんの車のテールライトが見えました。どうやら何かを見付けたようです。
 どれどれ、車から降りて近づいてみると、巨大なナミエガエルです。ナミエガエルは世界中で、このヤンバルにしか生息していない大型のカエルです。
 Tim・・・やったね!!
 喜如嘉で食事中に、渓流でグゥオッ・グゥオッとナミエガエルの鳴き声がしていたので、今日は観察できそうだナーと思っていたのですが、一番観察したがっていたTimさんに最初に見付けてもらって、本当に良かったです。
巨大ナミエガエル
巨大ナミエガエル顔正面
ナミエガエル亜成体
A:ナミエガエルを観察するさくちゃんとAkiさん
ナミエガエルを観察するさくちゃんとAkiさん

アカマタ
 しかし・・・何時見ても、頭でっかちで、けったいなカエルだなー(笑)。
 ナミエガエルは、亜成体を含む複数の個体を観察することが出来ました。
 その後は、Timさん達も目が慣れてきたようで、自分達の力で立て続けにアカマタハナサキガエルオキナワアオガエルを見付けて観察することが出来ました。
アカマタ
ハナサキガエル オキナワアオガエル♀
オキナワアオガエル♀

 昨夜、絶好調だったイボイモリはと言うと・・・今夜も多くの個体が林道に姿を表してくれました。

イボイモリ
イボイモリ

 写真撮影をしては、走行車に轢かれないように道路脇にリリースを繰り返すこと十回前後。多くの個体を観察することが出来ました。
 その中の1匹の前脚にヒルが寄生しているのを発見。去年観察したヒル(晩秋の沖縄本島イボイモリ観察紀行2005.4.4)と同種のようですが、このヒルの方が大型です。この個体は、アップの写真を撮影し、ヒルを取り除いてリリースしました。

22	右前足付け根付近をヒルに吸着されている固体
右前足付け根付近をヒルに吸着されている固体アップ
アップ

 大国林道も終点に近づいたところで、先を走るTimさん達の車のブレーキランプが光っています。どうやら、また何かを見付けたようです。
 近寄って確認すると・・・・3cm足らずのイシカワガエルの幼体です。
 こんなにちっちゃいのよく見付けたじゃーん。エ・ラ・イ!!
 イシカワガエルの幼生(オタマジャクシ)の多くは、夏に変態・上陸するため、去年の夏に上陸した個体だと思われます。

イシカワガエル(幼体) ミナミヤモリ
イシカワガエル(幼体) ミナミヤモリ

 Timさん達との観察も、今夜はこれで終了。
 Timさん達と別れ、一人でさらに北上し、多くのイボイモリやハナサキガエル等のカエル達、ミナミヤモリ、アカマタ、ヒメハブ等のは虫類を観察することが出来ました。  

春の沖縄本島生きもの観察紀行 その3に続く


文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
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