その48 春の沖縄本島生きもの観察紀行−1
Ikimono Dayori sono48

春の沖縄本島生きもの観察紀行 その1−2

 午後7:30に無事Timさん達と合流。
 軽く挨拶を交わした後で、これからの夜間観察を行う場所を決めるために、今までに何を観察したかを尋ねてみました。
 すると返ってきた答えは・・・、シリケンイモリとヌ・ヌマガエル・・・う・うんーん・・・想像を絶する普通種と数の少なさ(涙)。
 せっかく、北部に宿泊しているのに、ヤンバル特産種は1種も観察できていないやんけー。
 これは、ガイドのやりがいがあると言うことか!!・・・な??
 何処に案内しても、今まで観察できなかった種を観察できるのは確実です。Timさん達と話し合った結果、2人共夜間の沢歩きは未経験なので、何時も通っている比較的安全な沢を詰めて、生き物を観察することに決めました。
  目的地に向かうために国道58号線を北上し、与那から分岐し、県道2号を進みます。いつも車を停めておく場所の手前で、ヘッドライトにカエルが照らし出されました。車を急停車して、駆け寄って種を確認します。
 すると、なんとラッキー!!イシカワガエルです。まだ若い個体で、なかなか綺麗です。
 県道2号は車が頻繁に通るため、林道に個体を移して写真撮影です。30分近くの時間を使って3人が次々とシャッターを切るので、イシカワガエルもいささかお疲れ気味です。最近好んで撮影しているアングルの、顔の正面写真も無事撮影できました。
 撮影会はこれぐらいにして、沢に向かって未舗装の林道を進みます。
 この林道は、ススキなどの高茎草本が沢山侵入していて歩きづらいのですが、藪こぎしながらゆっくり進みます。
イシカワガエル
イシカワガエル 顔表面
イシカワガエル
※小さい写真はクリックすると拡大写真が表示されます

アカマタ(若い固体)
 少し歩いたところで、足下からヘビが這い出しました。アカマタです。まだ若い個体で元気モリモリです。
 誰の許しを得て写真撮影しとるんじゃい!!眩しいやんけー!!おら・おら・おら近寄ったら噛み付くけんねー的なポーズで、カメラを威嚇します。そのポーズがカッコイイのでまたまたシャッターを切る、を繰り返してここでも30分の撮影会。
 そろそろ行きまっせーとフィンランド人のAkiさんのお尻を叩いて、沢に向かいます。
アカマタ(若い固体)

 沢を歩き始めると、オオウナギが泳ぎ去り、テナガエビが岩陰に隠れます。
 足音に驚いて大きくジャンプするのはハナサキガエルです。
 

 ハナサキガエルは普通に観察することができるヤンバル特産種のカエルです。いつもはハナサキガエルを中心として多くのカエルやヘビ達が観察できるのですが、何故か今夜はあまり出てきてくれません。
テナガエビ
ハナサキガエル(亜成体)
テナガエビ
ハナサキガエル(亜成体)
 このまま沢で観察していても仕方ないので、沢歩きは早めに切り上げて林道を車で流すことにします。
 上ってきた沢をゆっくり下ります。崖にライトを当てて注意深く捜していたTimさんがアカマタを見付けました。
 巨大で立派な個体です。どんどん崖を上っていくので、沢まで引きずり下ろして写真撮影です。TimさんとAkiさんのために捕獲のパフォーマンスを見せてあげることにします。大きい個体なので噛まれると痛いのですが、そこは大サービス!!
巨大アカマタを捕まえるさくちゃん
巨大アカマタを捕まえるさくちゃん
巨大アカマタ巨大アカマタ 巨大アカマタ
 
巨大アカマタ

 さて、沢での観察はここまで。未舗装の林道を草を掻き分けながら進みます。
 すると、Akiさんが足下で生きものを見付けたようです。近くにいたTimさんが覗き込みandersoni!!(アンデルソニ)と叫びました。
 そう、イボイモリです。この沢一帯にはイボイモリが比較的高密度で生息しているので、何時も観察に訪れる場所なのですが、夜間観察でこの様に観察できるのは大変ラッキーです。
 写真撮影を終え、興奮冷めやまぬまましばらく歩くと、道端の水溜まりの近くでまたまたイボイモリを発見しました。ここは、イボイモリの卵や幼生を観察したことがある場所なので、おそらく繁殖のために水場近くに集まってきた個体だと思われます。

イボイモリ    
イボイモリ イボイモリ イボイモリ

 思いもよらず、2匹のイボイモリを観察できて、気分良く車に乗り込みます。県道2号から林道へ入るとスピードを緩め、生きものの気配を伺いながら進みます。


文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
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