その37 晩夏の沖縄(本島と渡嘉敷島)生きもの紀行−1
Ikimono Dayori sono37

晩夏の沖縄(本島と渡嘉敷島)生きもの紀行 Page1

 2003年の9月6日から8日までの3日間、晩夏の沖縄に行って来ました。
 今年の沖縄は、9月上旬に入ってもカラカラ天気が続き、両生爬虫類を観察するには余り良い条件でないのですが、まあいっかー・・・てな調子で出かけました。
 今回の目的は、本島中部に生息するイボイモリを観察することと、渡嘉敷島に渡って、渡嘉敷島に生息するマダラトカゲモドキとイボイモリの観察です。
 今回の旅は一年ぶりの夫婦2人旅です。
 眠い目を擦りながら、羽田に到着すると、そこは人混みでごった返しています。沖縄便の飛行機も一日中ほぼ満席状態。テロや新型肺炎SARSの影響が残っているのかナー・・・それとも美ら海水族館の人気のため?などと呟きながら、サンドウイッチなどを買い込んで機上の人になったのでした。

中部産のイボイモリが生息する沢

 機内では、航空会社の沖縄キャンペーン・ビンゴゲームをしたり(妻がめでたくビンゴ!)、眼下に南西諸島の島々を見下ろしながら、無事那覇空港に到着したのでした。

 さて、空港で機内預かりの荷物を受け取り、まずはおきまりのコースで牧志の公設市場に直行です。いつもの様に酒のつまみとして惣菜を買い込みます。今回は最終日に買い物をする時間があまりないため、生鮮食料品以外のお土産も買い込みました。
 北に向けて出発です。

 まずは、中部に生息するイボイモリの観察と写真撮影です。
 本島中部に生息するイボイモリは、開発により生息環境が減少・悪化し、生息数が極端に少ないらしいため、見つけられる可能性は低いのですが、北部の個体群とは形態的な違いがあると言われているため、是非見てみたいイボイモリです。
 高速道路を沖縄北ICで下り、去年下見した場所を中心に調査の開始です。
 蚊の大群にまとわりつかれながら、可能性の高そうな場所で探しますがやっぱり見つけることが出来ません。
 ここで見つけられなかったら諦めようと思いながら最後のポイントに向かいます。
 妻を車に残し、1人で林に分け入ります。
 ハブに注意し、藪こぎしながら斜面を下りると、小さな沢が目に入りました。
 水の流れも緩やかで、所々に水溜まりも見えます。沢に下りると粗大ゴミが捨ててあったり、汚水が流れ込んでいるのか、水質も余り良くなさそうですが、環境構造としては、今まで調査し、生息を確認した沢によく似ています。
 頭にタオルを巻き、気合いを入れて、可能性の高そうな石や倒木を手鍬を使っておこしますが・・・出てくるのはミナミサワガニばかり。

沖縄島中部産のイボイモリ  20分位経ったころでしょうか。半分が土に埋まっていた古タイヤを、力任せにはぐった時です。
 いました。沖縄本島中部産のイボイモリ、一匹目の発見です。
 窪みに入り込んでいてじっとしています。
 ザックからカメラを取り出し、窪みから追い出して写真撮影です。
 撮影も無事終えてほっと一息・・・
 滝のように流れる汗を拭いながら水分補給をして、形態等を観察します。
 天然記念物のため手にとって計測は出来ないのですが、北部産の個体群と大きな違いは見いだせなかったので、ちょっと拍子抜けです。でも第一目標は達成できたので、本部半島にある今晩宿泊予定のホテルに向けて、車をさらに北に走らせました。
沖縄島中部産のイボイモリ
沖縄島中部産のイボイモリ ※拡大写真あり

 途中の名護でイボイモリを探したり、道の駅で買い物をしたりしたため、ホテルに到着したのは、6時を少し回っていました。
 ホテルで軽く夕食を済ませ、7時過ぎからヤンバルに向けて出発です。


文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
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