その32 冬の奄美大島、生きもの紀行-4
Ikimono Dayori sono32

冬の奄美大島、生きもの紀行 Page4

 住用村で時間を潰し、夜7時夜間調査の開始です。
 天候は相変わらずの土砂降りです。クロウサギ等の哺乳類には最悪のコンデションですが、カエル天国になることは間違いありません。
 集落を過ぎ、峠を登り始めてすぐに姿を現してくれたのはアマミアオガエルです。アマミアオガエルは、オキナワアオガエルの亜種で奄美大島、加計呂麻島、徳之島に分布しています。土砂降りの雨の中、早速写真撮影です。でも林道に出て来たアオガエルの仲間は、車のヘッドライトに照らされてもうずくまったままで逃げないため、写真撮影は簡単なのですが、何時も様にならないポーズです。雌雄共沢山林道に出てきていました。出だしは好調です。

アマミアオガエル
アマミアオガエル
 
アマミアオガエル

写真はクリックすると拡大写真が表示されます。

 車のヘッドライトに驚き、すばらしいジャンプで林道を横切るのはアマミハナサキガエルです。沖縄島北部に分布しているハナサキガエルによく似ていますが、アマミハナサキガエルの方が二回りぐらい大きくてりっぱです。奄美大島と徳之島に分布しています。こちらも沢山林道に出てきていて、ついつい沢山フィルムを使ってしまいます。

アマミハナサキガエル 亜成体
アマミハナサキガエル
アマミハナサキガエル
アマミハナサキガエル 亜成体
アマミハナサキガエル
アマミハナサキガエル

 小刻みにジャンプを繰り返しているのは、リュウキュウアカガエルとニホンカジカガエルです。両種とも今夜も沢山出てきています。
 さてイシカワガエルはと言うと、沢を横断する箇所では必ずと言っていいほど観察できて、普通種とちゃうの?と勘違いしそうです。
 イシカワガエルが、苔の上にいるのを見つけました。
リュウキュウアカガエル
苔に同化するイシカワガエル
苔に同化するイシカワガエル

 苔の上では派手な模様が同化して目立たなくなっています。イシカワガエルの模様は、苔生した岩の多い渓流環境に適応したものだと実感させられる瞬間でした。
苔に同化するイシカワガエル

 さて、車は峠道に入り、道端にススキが生い茂る環境に到着しました。クロウサギが好んで出てくるのはこの様な場所です。しばらく粘ってみたのですが結局クロウサギは姿を現してはくれませんでした。土砂降りの雨だから仕方ありません。
 その後は、観察場所を北部に移動しながらカエル三昧の時間を過ごし、ホテルに向かったのでした。


文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
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