Ikimono Dayori sono60 |
イボイモリとその仲間達 Page2 |
イボイモリの観察方法 | |
両生有尾類に興味がある人が南西諸島を訪れる際に、観察対象として第一にあげる種はイボイモリだと思います。でも多くの方がイボイモリだけは観察できないで帰ってきます。イボイモリは南西諸島の両生類の中で一番観察しにくい種と言っても過言ではないのです。 では、なぜ観察しにくいのでしょうか? それは、以下に示すようなイボイモリの形態や生態的な特徴と観察方法にその原因はあります。 |
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・動きが緩慢で活発に動き回らない ・夜間に活動する ・体色が黒から茶褐色のため目立たない ・繁殖期も水中に入らないため観察場所を絞り込みにくい ・個体数が少ない ・通常の爬虫類や両生無尾類(カエル)の観察の様に、夜間に観察を行っている ・林道や林道の側溝の落ち葉内、サトウキビ畑などで探している |
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などです。 では、どの様な場所や方法で観察すればいいか紹介しましょう。 |
観察時期 |
イボイモリは年間を通じて観察することができますが、繁殖期であり気候的にも穏やかな冬期から春期が最適です。 繁殖期の最盛期にあたる3月下旬から4月には、比較的活発に行動するため、夜間に林道にも出てきていることがあります。 時間帯は個体確認が容易な昼間が主体ですが、上記のような理由から、繁殖最盛期は夜間に車で林道を走ると観察できることもあります。 |
観察方法 |
地図上で生息環境にあたりを付けて、現地に入ります。 生息環境の項で示した環境を見付けると、次はイボイモリが隠れていそうなオブジェクトを探します。 水場近くのオブジェクトでも、氾濫源に位置する場合には隠れていません。 オブジェクトが増水時に水没する位置にあるかは、落ち葉の堆積状況や下層植生の有無で見分けます。 腐葉土や落ち葉の堆積が少なく、下層植生の発達が悪い、オブジェクトの下がどろどろの状態の場合は増水時に水没する場所です。 観察は、オブジェクトをひたすらひっくり返し、オブジェクトの下に隠れているイボイモリを探します。 トタンの様な大きなオブジェクトや石がガレ場のように積み重なった場所には、ヒメハブなども隠れていることがあるため、不用意に素手をオブジェクトの隙間に突っ込んだりしないようにします。 オブジェクトをひっくり返すときは、軍手をして手鍬を使うと安全性が高まります。 前記したように、天然記念物に指定されているため、触ることは禁止されています。イボイモリはオブジェクトをひっくり返しても、ほとんどの個体はじっとしています。写真撮影などを行ったら、もとの位置に戻してください。 |
イボイモリ(Echinotriton andersoni )の卵 | |
イボイモリ 孵化直後の幼生 | |
イボイモリ 幼生 | |
イボイモリ 幼体 | |
文と写真:佐久間 聡(さくま さとし) |