その60 イボイモリとその仲間達−7
Ikimono Dayori sono60
イボイモリとその仲間達 Page7

ウェンシャンイボイモリ(シセンイボイモリ) Tylototriton asperrimus wenxianensis
 
 中国の四川省から甘粛省に分布しています。
 シセンイボイモリは、1984年3月に甘粛省の個体群をTylototriton asperrimus の新亜種として記載されました。また、同年6月には四川省の個体群をTylototriton asperrimus pingwuensis として新亜種記載されましたが、現在はシセンイボイモリTylototriton asperrimus wenxianensis のシノニムとされています。
 シセンイボイモリ自体も、独立種として扱われることがあります。
 海抜500〜1500m付近の山地部の水場周辺の林床の石や落ち葉の下などに生息しています。
 皮膚は乾いており一面が小さい顆粒状の隆起で覆われています。
 体色は黒褐色〜黒色で前後の肢の指先、尾の下部、総排泄孔周辺のみが朱〜赤褐色となります。
 キメアライボイモリに似ていますが、全長は13.1〜14.2cm程度で、一回り以上小さいです。
 我家における飼育経験では、通常は陸生ですが、春期に水生生活となり、水中で雄が雌の下から前肢同士を絡ませ、抱え込むような求愛行動をとりましたが、繁殖には至っていません。

ウェンシャンイボイモリ(Tylototriton asperrimus wenxianensis
ウェンシャンイボイモリ ウェンシャンイボイモリ
ウェンシャンイボイモリ ウェンシャンイボイモリ

ベトナムイボイモリ Tylototriton vietnamensis
 
 ベトナム北部に分布しています。
 隣接するラオス北部や中国の雲南省などでも見つかる可能性が高いと思われます。
 2005年に新種記載された種です。
 丘陵地から山地部にある水場周辺の林床の石や落ち葉の下などに生息しています。
 皮膚は少し湿った感じで、他種に比べて滑らかです。
 体色は黄褐色〜茶褐色で前後の肢の指先、尾の下部、総排泄孔周辺のみが朱褐色となります。
 全長は12cm程度の小型種です。
 我家では2003年から飼育していますが、他のイボイモリと同様な環境で飼育可能です。

ベトナムイボイモリ(Tylototriton vietnamensis
ベトナムイボイモリ ベトナムイボイモリ
ベトナムイボイモリ ベトナムイボイモリ

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文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
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