その31 晩夏の沖縄本島山原(ヤンバル)生きもの紀行−3
Ikimono Dayori sono31

晩夏の沖縄本島山原(ヤンバル)生きもの紀行 Page3

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 谷筋のイタジイ群落が根こそぎ倒れている箇所もいくつもあります。新設された林道では特に顕著です。きっとソデ・マント群落が形成されていないため、林道が風道になって谷筋を一気に駆けあがり、原生林が薙ぎ倒されたのだと思います。
 林道沿いに設置された「ヤンバルテナガコガネを採集しないで下さい」と書いた幟がやたらと目立ち、むなしくたなびいています。林道整備とそれに伴う森林の被害や渓流の汚濁を目の当たりにすると、思わず「これ以上ヤンバルテナガコガネの生息環境を破壊しないで下さい」をいう幟を立ててまわりたくなってしまいました。
谷筋のイタジイ群落

 カサカサの林道沿いでは、生きものの気配が余り感じられないのですが、シロオビアゲハジャコウアゲハ等のアゲハチョウや迷蝶のリュウキュウムラサキが目に付きます。偶然飛んできたアオウバタマムシもナイスキャッチです。アオウバタマムシは、ウバタマムシの奄美・沖縄諸島に生息する亜種で、点刻が緑色の世界一美しいウバタマムシと言っても過言ではありません。

アオウバタマムシ
シロオビアゲハの求愛
ジャコウアゲハの吸蜜
リュウキュウムラサキ♂

 は虫類では、ひょうきん者のオキナワキノボリトカゲが時折姿を見せてはくれますが、それ以外は時々バーバートカゲが林道を横切る程度です。
 いつもの様に林道を横断する沢でイボイモリを探してみることにします。どの沢も、台風の影響で激しく増水した跡が生々しく残っています。
 石はぐりを始めて10分位経ったころでしょうか。いました。いました。何時も観察しているどの沢でもイボイモリの無事な姿を確認することができました。
オキナワキノボリトカゲ
 季節柄、クロイワトカゲモドキの幼体も多数、石の下から飛び出してきました。
 両種共、台風による沢の氾濫から逃れて逞しく生き延びたのです・・・と言うよりも、イボイモリやクロイワトカゲモドキは、そもそも沢や河川の氾濫限より上部の石の下に隠れているのです。天然記念物のため触ってはいけないのですが、手にとって記念写真を撮らせてもらいました。
クロイワトカゲモドキ幼体

 時間はまだ早いのですが本部半島の北西端に位置する備瀬集落のフクギ林を散策してホテルに帰ることにします。


文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
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