その31 晩夏の沖縄本島山原(ヤンバル)生きもの紀行−1
Ikimono Dayori sono31

晩夏の沖縄本島山原(ヤンバル)生きもの紀行 Page1

 9月14日から16日までの3日間、晩夏の沖縄本島に行って来ました。
 今年の沖縄は、9月に入って台風15号・16号が続けて上陸し、特に台風16号は沖縄周辺に長い間留まったため、沖縄北部では50年ぶりの被害を受けました。
 今回の目的は、台風直後の山原を観察し、原生林がどの様な被害を受けているのかを観察することなのですが、何時も観察している沢でイボイモリやその他の生きもの達がどの様になっているのかも少しだけ観察したいと思っていました。
瀬底島の海岸線
 急遽、沖縄行きを決めたため、どたばたとホテルやレンタカーの手配をし、慌ただしく14日の朝を迎えました。
 今回の旅は徳之島以来の夫婦2人旅です。
 眠い目を擦りながら、羽田に到着すると、そこは人混みでごった返しています。さすが連休。「そういえばこの様な旅費の高い時期に沖縄に行ったことなどないなー」などと呟きながら機上の人になったのでした。
 機内では、あいにくの秋雨前線の影響で視界は開けず、ただ寝るのみだったのですが、奄美大島を通過するあたりから快晴の空模様となり、眼下に徳之島や山原の山並みを見下ろしながら、無事那覇空港に到着したのでした。

 空港で機内預かりの荷物を受け取り、まずはおきまりのコースで牧志の公設市場に直行です。いつもの様に惣菜を買い込み、市場の2階で早めの昼食を済ませました。
 腹ごしらえもできて、一路山原(ヤンバル)に向けて出発と行きたいところですが、今回は中部に分布するイボイモリの生息環境を下見するために、具志川市や恩納村をドライブしながらの北上です。
 高速道路を沖縄北ICで下り、IC周辺や昔の記録がある昆布周辺、徐々に北上して恩納岳周辺を探してみますが、結局1匹も見つけられないまま、瀬底島に立ち寄り、本部半島の先端に位置する本部町にあるホテルに到着しました。
 瀬底島では、祠や敬老の日を祝うエイサーを見学したり、青い海で記念写真を撮ったりして過ごしたのですが、イボイモリや生きもの便り初登場のシロアゴガエルの写真撮影をしっかりこなすことも、抜かりがありません。
イボイモリの生息する杜

祠(土帝君祠)
敬老の日を祝うエイサー
イボイモリの横顔
シロアゴガエル
 
※小さい写真をクリックすると拡大表示します

 シロアゴガエルは、アオガエル科のカエルですが、他のアオガエル科のモリアオガエルやオキナワアオガエルの様に緑色ではなくて茶色をしています。
 インドシナ方面から帰化したカエルのため、恐らくベトナム戦争時代にアメリカ軍によって持ち込まれたのかもしれません。市街地や農地で多く見られ、ヤンバル等の原生林では見かけることは少ないカエルです。
 ホテルでのんびりと夕食を済ませ、8時過ぎから瀬底島と本部半島の海岸近くに生息するちょっと変わったクロイワトカゲモドキを探したのですが、台風による塩風害の影響を受けたカサカサ状態の林には、結局1匹も姿を現してくれませんでした。


文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
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