その25 バリ島Delias(カザリシロチョウ)採集の旅-9
Ikimono Dayori sono25

バリ島Delias(カザリシロチョウ)採集の旅 Page9

バリ・アカの村
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 バリ・アカ(原バリ人)の村は、バリ島がヒンドゥー教の影響を受け、バリ・ヒンドゥーとして確立する以前の集落形態や生活様式を残している点で興味深い村です。
 バリ・アカの村は、バトゥール湖沿いや北部地方を中心に点在していますが、東部にあるトゥガナン村もその一つです。日本の観光ガイドブックで紹介されたり、テレビで村の様子を放映されるようになったため、村を訪れる日本人も見かけるようになりました。
 私がトゥガナン村を訪れる時は、ブサキ寺院と組み合わせることが多いため、南部のリゾート地を夜明け近くにスタートします。車窓からはのどかな田園風景や牛の放牧を見ることができます。また海岸部では、昔ながらの製塩風景や日干しレンガを作る光景も見ることができます。

 トゥガナン村に着くと、寄付金を払い記帳をして集落内に入ります。集落形態は、長方形の外周の中央部に集会場や水汲み場等の公共施設があり、それを囲むように家屋が連なっているため、家屋の壁が集落の外壁の役目をし、要塞集落を思わせます。集落内では、水牛やニワトリ、アヒル等の家畜が放し飼いにされています。また集落の外れには沐浴場があり、周りには自然林も残っています。
 私がトゥガナン村を訪れる理由は、自然林に抱かれた昔ながらの集落の有り様や集落形態の面白さ、バリ・アカの生活様式に触れること等にあるのですが、もう一つ、大きな目的があります。それは、カンベン・グリンシンと呼ばれるダブル・イカット(縦横両方の糸を染めて織る布)です。

 カンベン・グリンシンは、魔除けとして身に付けられていた布で、トゥガナン村だけに伝わっている伝統的な織物です。糸の染めや織り等も昔ながらのしきたりに基づいて行われるため、織り上がるのに5〜10年掛かると言われています。
大変高価な布なのですが、どうしても欲しくなる一品です。今回のバリ行きでもついつい買ってしまいました。
 


文と写真:佐久間 聡(さくまさとし)
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