さくちゃんの生きもの便り(その17) 春の沖縄(久米島)生きもの紀行−3

  5月13日

 まだ眠い目を擦りながら、早朝から観察開始です。
 まず最初に宇江城岳に行き、その後で島尻の林道に入りました。妻は林道の途中で車で待っていてもらい一人で沢の散策です。
 沢での目的は、日本で久米島の沢にしか生息していないキクザトサワヘビの写真を撮影したいからです。去年の事ですが、僕の知人は、サワヘビを見つけたものの急斜面の岩から落ちてしまい、撮影することができませんでした。しかも彼はその事故で、一時的に記憶喪失になってしまいました。

それでは僕が仲間内で最初に写真撮影に成功するぞ!!ってなことで、沢の中に入ったものの、大きな岩がごろごろしていて、しかも滑りやすいため、生きものを探しながら進むには条件が良くありません。それでもリュウキュウルリモントンボの写真を撮りながら慎重に進みます。20分ぐらい沢を歩いて急斜面の岩を下りたときです。大きな石と小さな石が入り交じる浅い流れの中にヘビが這っています。オレンジ斑が視認できたのでキクザトサワヘビに間違いありません。カメラを構えて慎重に近寄りますがサワヘビは大きな岩の隙間に逃げ込んでしまいました。しばらく出てくるのを待ってみましたが、可能性が低いためあきらめて林道に戻り、アオカナヘビの写真撮影をすることにしました。

リュウキュウルリモントンボ
アオカナヘビ
 

 林道の路肩のススキでアオカナヘビはすぐに見つかりましたが、相変わらず逃げ足が早いため、なかなか撮影できません。やっとの思いで地上に降りた個体を撮影することができました。これで無事「生きもの便り」に載せることができます。
 次に見つけたのはヒメアマガエルオキナワトカゲです。沖縄本島では、原生林にはバーバートカゲ(生きもの便りその6で紹介済み)、海岸部や農耕地にはオキナワトカゲと棲み分けているのですが、久米島では原生林にまでオキナワトカゲが進入しているようです。人為的な環境を主な生息の場としているオキナワトカゲが原生林に進入できるということは、原生林の環境の悪化を物語っているのかもしれません。

ヒメアマガエル
※拡大写真がありません
オキナワトカゲ

 12時を過ぎたので、島尻での観察を終える事にしました。ホテルに戻る前に最南端の島尻崎でチョウ類の写真撮影をしました。「生きもの便り」で海岸部で見られる一環的なチョウ類を紹介するためです。
 海岸林の中ではマダラチョウ科のリュウキュウアサギマダラオオゴマダラがゆっくり飛んでいます。林縁部ではアゲハチョウ科のジャコウアゲハベニモンアゲハオキナワカラスアゲハが吸蜜に訪れています。シロチョウ科のナミエシロチョウも時々現れました。上記の内、ベニモンアゲハとナミエシロチョウは、近年になって沖縄諸島に土着した南方系のチョウで、僕が学生の頃は、八重山諸島でしか見ることができなかった種類です。

リュウキュウアサギマダラ
 
 
オオゴマダラ
ベニモンアゲハ
オキナワカラスアゲハ♂
ジャコウアゲハ
ベニモンアゲハ
ナミエシロチョウ♀

春の沖縄(久米島)生きもの紀行-4に続く 
   (写真:リュウキュウアオヘビ

文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
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