さくちゃんの生きもの便り(その17) 春の沖縄(久米島)生きもの紀行−2

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 ホテルにチェックインし、事前に送っていた夜間調査用具を受け取り、休憩と食事を済ませて宇江城岳へ向けて出発です。時間は8時を回っていました。道を間違えながら宇江城岳に到着。カメラとライトをぶら下げ、ザックを背負っていつもの格好で林道や森林内に分け入ります。ただ、昼間に下見をしたとはいえ初めての場所なので、林内の奥深くに分け入ることは避けます。夜間の林内では、ライトに照らし出されるだけの視界のため、すぐに方向感覚をなくし、帰り道が解らなくなってしまうからです。
 まず最初に見つけたのはミナミヤモリです。斑紋のはっきりした綺麗な個体です。ミナミヤモリは、九州の薩摩半島以南に分布し、主に原生林内に生息しているため一般の人達は目にすることの少ないヤモリなのです。実は、久米島にはミナミヤモリに良く似た新種のヤモリ(仮称 クメヤモリ)がいると言われているため、森林内で見つけたヤモリは全て採集しチェックしていきます。10匹ぐらい採集した頃だったと思います。確かにミナミヤモリとは腹部の斑紋が違うヤモリが見つかりました。結局2晩で40匹近いヤモリをチェックして、2匹だけクメヤモリの特徴を持った個体を見つけました。この個体は、爬虫類に詳しい友人に同定してもらうために持って帰ることにしました。


ミナミヤモリ
(斑紋のはっきりした個体)
ミナミヤモリ
(普通の個体)
仮称 クメヤモリ



ミナミヤモリ 下段:腹部
(斑紋の薄い個体)
ミナミヤモリ 下段:腹部
(斑紋の濃い個体)
仮称 クメヤモリ
下段:腹部

 次に見つけたのは、ヤマシナトカゲモドキです。ヤマシナトカゲモドキは、「生きもの便り その6」で紹介したクロイワトカゲモドキの久米島亜種です。今回、久米島に来た理由はこのトカゲモドキを見るためと言っても過言ではありません。興奮してシャッターを押します。クロイワトカゲモドキの5亜種の内、最もエレガントな亜種であることを実感し後ろ髪を引かれながら、次へ進みます。ところがヤモリ以外何も出てきてくれません。5月に入って雨が少なく、林床が乾燥しているせいかもしれません。意識して渓流沿いや湿性地を歩きますがカエルにも出会いません。やっとの思いで見つけたのが、お馴染みのリュウキュウカジカガエルです。


ヤマシナトカゲモドキ♀
ヤマシナトカゲモドキ♂
(再生尾の個体)
リュウキュウカジカガエル


 
渓流沿いの林道に戻って歩いているとホタルが飛び交っているのに気付きました。クメジマボタルです。クメジマボタルは久米島だけに分布し、1993年に発見され1994年に新種として記載された珍しいホタルです。ゲンジボタルのように大きく(13mm〜16mm)、幼虫時代を水中で生活する3種のホタル(ゲンジボタル、ヘイケボタル、クメボタル)の内、最も希少なホタルのため、是非見てみたかったホタルです。クメジマボタルとは別の小さなオキナワスジボタルも見つけました。しばらくの間2種類のホタルの共演を楽しんでホテルに帰ることにしました。ホテルの街灯には相変わらずホオグロヤモリが張り付いていました。

クメジマボタル
オキナワスジボタル
※拡大写真がありません

春の沖縄(久米島)生きもの紀行-3に続く
   (写真:リュウキュウアサギマダラ
 
文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
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