Ikimono Dayori sono65
カエル池プロジェクト2009
雑木林の新緑が青空に映え、ヤマザクラやモミジイチゴの開花が里山を飾り、生きもの達の息吹を感じる季節になりました。 何時も、この季節になると野山を歩き、両生類の観察を楽しんでいるのですが、両生類(カエルやサンショウウオ)を取り巻く環境は悪化する一方です。 |
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モミジイチゴ |
アライグマに捕食された成体 |
生息環境の減少や消失、質的悪化。
アライグマやウシガエル、アメリカザリガニ等の外来生物による捕食圧。
それに加えて、カエルツボカビ症やラナウイルス感染症、温暖化や紫外線量増加等による影響も懸念されています。
中でも、里地・里山に生息するカエルやサンショウウオの生息に大きな影響を与えているのが、繁殖環境の減少や消失、質的悪化です。
里地・里山に生息するカエルや止水産卵性のサンショウウオ達は、稲作に伴う土地利用に大きく依存して生息しています。
水田や溜池、用水路等は、米を生産する用地や施設だけではなく、カエルやサンショウウオ達にとっても重要な繁殖環境として機能していたのです。
その水田が、1970年から本格化する減反政策と、日本の工業化に伴う農業離れによる後継者不足等により、次々と休耕田化していきました。
管理されなくなった水田には、徐々に土砂や落ち葉が流入・堆積し、水深が浅くなっていきます。渇水期には干上がり植物が繁茂し、乾燥化に拍車をかけます。
乾燥化の進んだ谷津田 |
現在の谷戸の休耕田は、このような経緯をたどり水深が浅くなった場所がほとんどです。
このような休耕田は、貯水量が少ないため、晴天が続くとすぐに干上がり、せっかく産卵されたカエルの卵塊やサンショウウオの卵嚢は、干からびて死んでしまいます。
休耕田の乾燥化がもっと進むと、休耕田に産卵することができなくなり、用水路の溜まりに産卵する様になるのですが、このような場所に産卵された卵嚢や卵塊は、雨が降ると流されてしまい、結局死んでしまいます。
このような状況が続くと、カエルやサンショウウオの生活環が途絶えてしまい、急速に衰退していきます。
今まさにこのような状況が日本各地で起こっているのです。
西多摩地域のカエルやサンショウウオの状況も同じです。
このような状況を黙って見ているわけには行きません。
「この状態を何とかせにゃーならん!・・・この谷津田をどげんかせにゃーならん!」てな調子で、ヒダサンショウウオと異種同名、ノンちゃんことひださんの旗の下、ここ掘れワンワンと老若男女が集結したのが「カエル池プロジェクト」です。
「カエル池プロジェクト」は、2006年の冬期から地権者の理解と協力を得て、スコップ片手に乾燥化の進んだ休耕田で、両生類の繁殖環境の復元・創出を目的として、いままでに多くののカエル池を掘っています。
「カエル池 プロジェクト 2009」では、既設のカエル池の拡張と新たな池づくりを行い、アライグマ対策のシェルターを設置する予定です。
2008年12月13日 2009年の繁殖期に向けてのカエル池づくりの日です。
参加人数が心配でしたが、今までで最も多い13人の老若男女とワン子1匹の参加があり、一安心です。
特に今年は、東京農大のヤド研(野生動物研究会)のメンバーも参加してくれたので、心強い限りです。
車に分乗し意気揚々と目的地の谷戸に向かいます。
到着後、シャベル等の用具を持って全員集合。
ノンちゃんによる趣旨説明と自己紹介の後、グループに分かれて既設カエル池の拡張と新たなカエル池掘りを行いました。
ヤド研メンバーは真冬にもかかわらずTシャツ一枚になって、ガンガン池を掘っています。
参加者全員の努力で、予定時間より随分早く作業を終えることができました。
後は、予定通り水が溜まり、カエルやトウキョウサンショウウオが産卵に訪れてくれるのを待つだけです。
池掘りをしている参加者 |
掘り終ったカエル池 |
池を掘り終わってくつろぐ参加者 |
記念写真撮影 |
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