その50 ヒダサンショウウオ観察日記−3
Ikimono Dayori sono50
ヒダサンショウウオ観察日記 Page3

 その後も大きな石をはぐりながらどんどん進みますが、成体も卵嚢もぜんぜん見付かりません。
 出だしが好調だっただけに、狐につままれた思いです。
 それでも、時々ナガレタゴガエルが姿を現し楽しませてくれます。


 マンネリと一部で囁かれているにもかかわらず、正面顔のアングルでカメラを構えてカシャ・カシャ。
 ナガレタゴ殿、御主なかなか凛々しい顔立ちじゃのー。
 ナガレタタゴエルは、本州中央部(関東、中部、北陸、近畿の各地方)の低山地の森林地帯に生息しているカエルです。
 繁殖は、2月〜4月にかけて山間渓流で行われるのですが、雄は秋季から渓流に集まって水中の石の下で過ごすため、ヒダサンショウウオの観察で石をひっくりかえすと、ナガレタゴガエルが多々飛び出してきます。
ナガレタゴマエルの正面顔
ナガレタゴマエルの正面顔

 黙々と石をはぐり、とうとう毎年多くの卵嚢が産み付けられているポイントまできました。でも、やっぱりここでも見付かりません・・・どころか、何時も産み付けている石は、流れの外側に転がっています。なんでやねん?
 結局、越冬幼生は1匹も観察する事ができませんでした。おそらく、暖冬だったため越冬しないで年内に上陸したものの思われます。
 こんなところにも暖冬の影響が現れるんだなーと考えさせられる出来事でした。

 石を去年まであった場所に戻したところで、気力・体力とも限界です。
 沢を少し下ったところで、それぞれが岩に腰掛けて昼食です。


ハナネコノメ  岩の上に小さな白い花が咲いていました。
お蝶婦人に尋ねるとハナネコノメという種名の植物とのこと。
 ハナネコノメは山地の谷筋の湿った場所に生える多年草で、花は小さいけれど群生するので見ごたえがあるらしいのですが、ここでは2輪だけがひっそり開花していました。
ハナネコノメ

 昼食後は、ヒダサンショウウオの卵嚢を水中に沈めて、青白く輝く姿を観察して過ごしました。

水中で青白く輝くヒダサンショウウオの卵嚢 水中で青白く輝くヒダサンショウウオの卵嚢
 
水中で青白く輝くヒダサンショウウオの卵嚢

 どうしてこんなに綺麗に輝くのかなー。
 この光景を最近お気に入りのカリスマ店員こと柳原可奈子風に言うと・・・

「イラッシャイマセ〜 イラッシャイマセ〜・・・ゴ・ラ・ン・ク・ダ・サ〜イ」
「ソノ タマゴ キニナッチャウ カンジデスカ〜? フ・フ・フ・・・ミ・タ・イ・ナ」
「ミンナ キレイッテ イッテクレル〜」
「ギャクニ ソレグライノ-ヒカリノホウガ〜 シンピテキトイウカ〜」
「チョーヤバイ ハクシュモノダヨネー コレ」


って言う感じ(笑)

 この撮影に使用した2房の卵嚢は、カエルツボカビ症から両生類を守るために、日本動物園水族館協会が実施する「ノアの箱舟計画(カエルなど両生類で激減している種を動物園や水族館などで飼育して、ツボカビ症の感染対策が確立するまで保護する計画)」を実践するために採集し、上野動物園に持ち帰ってもらいました。


 楽しかった観察会もこれで終了。
 年度末は、いつも仕事に追われて心身共に疲れているのですが、生きもの好きな人達と楽しい一時を過ごすことができ、バランスを取り戻すことが出来たように思います。
皆さんありがとうございました。

マッタ キテクダサイネ〜 ミ・タ・イ・ナ・・・・・
参加者

3月10日 さくちゃんこと佐久間聡


文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
お便りの宛先は、delias@ss.iij4u.or.jp です