Ikimono
Dayori sono42
|
ハコネサンショウウオ観察日記(東京都日原) Page1 |
5月22日 有尾類好きの日本在住のアメリカ人のTさんを誘ってハコネサンショウウオの観察に出かけました。 Tさんとのフィールデングは今回が2回目。 前回は、ヒダサンショウウオ、トウキョウサンショウウオ、ニホンイモリを観察でき、大変喜んでいただいたので(生きもの便り40参照)、今回もまたTさん、Kさん、私の3人でハコネサンショウウオを観察しましょう!!となったわけです。 9:30分に待ち合わせをして、目的地の日原に向けて出発します。 日原でサンショウウオを探すのは3年ぶりです。 日原の沢にはハコネサンショウウオとヒダサンショウウオが混生し、しかも周辺は天然林に覆われているという、流水産卵性のサンショウウオやその生息環境を観察するには理想的なフィールドです。 有名な鍾乳洞を過ぎて車は林道を進みます。ゲートが閉まっていて通行できないという情報もあったのですが、なんとかそれも大丈夫のようです。 気になるのは、今にも降り出しそうな天気だけ・・・・と思っていたら、ガビーーン!! これより先、通行禁止!!という立て看板と仮設ゲート(涙) ここからだと、幼生が観察できる沢までは近いのですが、成体を探すには林道と登山道を90分近く歩くと思われます。 Kさんと話し合って、せっかくTさんを案内するのだから目的としていた沢まで登り、成体を探してみることにします。 スパイク付きの長靴に履き替え、ザックに観察用具と昼食や飲み物を詰め込んで出発。未舗装の林道をサンショウウオやイモリの話をしながら進みます。 様々な色の新緑、鳥の囀り、はるか下方を流れる渓流の音、気持ちのいいトレッキングです。 でも、なかなか林道の終点まで到着しません。目的の沢までは、林道の終点から登山道を更に40分ぐらい歩かなければいけません。 |
1時間ぐらい歩いて、やっと林道の終点に到着。みんな少々バテ気味です。 小休止の後で、登山道を歩きます。 周囲は天然林に覆われ、霧もたちこめて幻想的な景観です。時折、ニホンジカが我々を警戒して、鋭い鳴き声をあげています。 渓流を流れる水音が近づいてきました。もうすぐ目的の沢です。Tさんはカメラを取り出して、沢に向けてシャッターを切っています。 |
|
ハコネサンショウウオとヒダサンショウウオが混生する沢 |
小さな尾根を巻いて、やっと目的の沢に到着しました。時計を見ると12時をまわっています。 まずは腹ごしらえ。昼食を食べてから観察開始です。 顔の周りをブヨは飛び回って鬱陶しいので、愛用のインドネシアの防虫剤、AUTANを顔や手足に塗り付けます。この防虫剤は、効果が持続するのでインドネシアに行くたびに買いだめして使用している、優れものの防虫剤です。 |
|
|||||
さくちゃん |
Kさん |
Tさん |
Kさんとさくちゃん |
さて、下流側から大小の石をはぐっていきますがちっとも見付かりません。まあハコネサンショウウオの成体は、なかなか狙って見付け出せるようなものではないし・・・と、あきらめかけていた時です。バールを使って丹念に大きめの石をはぐっていた、Kさんが1匹目の成体を見つけました。なかなか綺麗なハコネサンショウウオの成体です。続けて、昨年上陸したと思われる幼体までも・・・・もうKさんの独壇場です。 |
ハコネサンショウウオ成体 (関東型:東京都日原産) |
横顔 |
ハコネサンショウウオ成体と幼体 (東京都日原産) |
ハコネサンショウウオは、個体変異や地域変異が大きいのですが、一般に関西の個体は、背中の斑紋が鮮やかな朱色になり関西型と呼ばれ、東日本産の個体は、黄褐色の少々地味な色合いとなり関東型と呼ばれています。 | |
ハコネサンショウウオ成体 (関西型:広島県冠山産) |
文と写真:佐久間 聡(さくま さとし) |