その42 ハコネサンショウウオ観察日記(東京都日原)−2
Ikimono Dayori sono42

ハコネサンショウウオ観察日記(東京都日原) Page2

 時計を見ると3時を回っています。今回は、沢山見つけることが目的ではないため、この沢での成体探しはこれぐらいにして、車を停めた近くの沢で越冬幼生を観察することにします。
 Tさんは、始めて履いたスパイク付きの長靴が足に合わなかったらしく、随分辛そうです。
 登山道を抜けたところでTさんを待って、また3人で歩き始めます。
 林道を歩いていると、偶然珍しい生きものを見つけました。
 えーい・・・ハコネサンショウウオの成体が見つけられなかったので、なんでもサンショウウオにしてしまえ!!
 そうだ、この生物の名前は、ハンマーヘッドアシナシサンショウウオ!!

 Kさんには「さくまさーん・・・すごい新種見つけましたねー 今日、始めての成果ですねー」などとからかわれて・・・(涙・笑)
 さっそくTさんを呼んでハンマーヘッドアシナシサンショウウオの説明をします。そんな生物いるわきゃないでしょ!!
 このハンマーヘッドアシナシサンショウウオは、別名コウガイビルという生物で、カタツムリやミミズを捕食するプラナリアに近い生物。コウガイという名前の由来は、日本髪を結った女性が付けるこうがいに頭の形が似ているから・・・
 Tさんと共に、写真撮影をして先を急ぎます。
コウガイビル
コウガイビル

 Tさんは、靴擦れと、それをかばって歩いていたため、足腰に激痛がはしり、大変辛そうです。
 なんとか、幼生観察を行う沢まで戻ってきました。
 この沢で、ハコネサンショウウオの越冬幼生を観察すれば、今回も完全目標達成です。
 早速、沢に下りて幼生を探します。
 流れの緩やかな場所にある石をゆっくりはぐっていきます。
 いましたいました。ハコネサンショウウオの越冬幼生です。ヒダサンショウウオの越冬幼生が散見できます。Tさんを呼んで、自力採集してもらうことにしました。

ハコネサンショウウオ幼生 ハコネサンショウウオ幼生 Tさん飼育用の幼生
ハコネサンショウウオ幼生
ハコネサンショウウオ幼生
Tさん飼育用の幼生

 採集した幼生を見ながら、Tさんにハコネサンショウウオの幼生とヒダサンショウウオの幼生の見分け方を説明し、今日の観察は、これで終了です。
 Tさんには、ちょっとハードなフィールディングでしたが、楽しんでもらえたと確信しています。
 今回もKさんのおかげで、楽しいフィルデングができました。
 今回掲載した写真の一部は、Tさんが撮影した写真を使わせてもらいました。
 両者に感謝して今回の生きもの便りはおしまいです。

 4回にわたった春のサンショウウオ観察は、このハコネサンショウウオの観察で終了です。

 
6月14日   さくちゃんこと佐久間聡



文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
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