その41 ブチサンショウウオ観察日記(広島県冠山)−1
Ikimono Dayori sono41

ブチサンショウウオ観察日記(広島県冠山) Page1

5月7日
 広島県の西北部、西中国山地のランドマーク的存在である冠山に渓流産卵性サンショウウオの観察に行ってきました。

 冠山に流水産卵性サンショウウオの観察に訪れるのは、これで3度目です。
 今回の観察対象種はブチサンショウウオ。
 より多くの成体と卵嚢を観察したいと思っています。
 ブチサンショウウオは、本州の近畿以西、四国、九州に分布して、西日本を代表する流水産卵性のサンショウウオです。地域変異や個体変異が大きく、将来研究が進むと、いくつかの種に別れること間違いなし。大変興味深いサンショウウオなのです。
青空に映えるフジの花
青空に映えるフジの花

 路線バスにゆられ、9:00に冠山の登山口にあたる潮原温泉に到着。
 帰りのバスの時間をチェックし、飲み物を買い込んでゆっくりと冠山に向けて歩き出します。咲き誇る春の草花にミヤマカラスアゲハやウスバシロチョウが吸蜜に訪れています。
 水が引かれたばかりの水田では、カエルがカララ・カララと沢山鳴いています。時期的にはまだ少し早いのですが、モリアオガエルが鳴いているようです。
 畦道を歩くとトノサマガエルが驚いて水田に飛び込みます。

トノサマガエル ラショウモンカズラ?  シマヘビが日向ぼっこをしています。今年はじめて見るヘビです。
 渓流に沿った登山道を登り始めると、所々に野生のワサビが群生し、春植物も沢山咲いています。
トノサマガエル
ラショウモンカズラ?
ハコネサンショウウオの幼生が生息する渓流 ハコネサンショウウオ越冬幼生  紫色の花を付けているのは、シソ科のラショウモンカズラでしょうか?
 時々渓流に下りてハコネサンショウウオの越冬幼生の写真を撮りながら進み、最初の枝沢に入り込みました。
ハコネサンショウウオの幼生が
生息する渓流
ハコネサンショウウオ越冬幼生

 トレッキングシューズからスパイク付きの長靴に履き替え、バールで大小の石をひっくり返しながら進んでいきます。この場所は以前に土砂降りの雨の中で、ブチサンショウウオの成体と卵嚢を観察した場所なのですが、1時間近く丹念に探しても、出てくるのはタゴガエルばかりです。
 しかも、この枝沢のタゴガエルは、なぜか緑色のヒルを沢山付けていて、おぞましきタゴガエル達でした。
緑色のヒルを沢山付けたタゴガエル
緑色のヒルを沢山付けたタゴガエル


文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
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