その23 春の奄美大島、生きもの紀行-2
さくちゃんの生きもの便り(その23) 春の奄美大島、生きもの紀行-2

 それ以降も、めぼしい石があると車を停めてはぐっていきますが、イボイモリは出てきません。そうこうしているうちに湧水のある水汲み場がありました。周辺は土の湿り具合といい、これこそはといった環境です。気合いを入れて次々と石や倒木をはぐっていきます。いました、いました。イボイモリです。でもこの個体は病気らしく、痩せ細り、片目が潰れていました。涙を飲んでリリース。沖縄では1箇所で見付かるとその周辺で複数が見付かることが多いのですが、ここでは次が見付かりません。やはり奄美大島は生息密度が低いのかもしれません。

 

病気らしく痩せ細ったイボイモリ
 

 沖縄とほぼ同様な環境で見付けられることが解ったため、少し周りを見る余裕が出てきました。林道沿いのイジュが白い花を付け、アサギマダラが優雅に吸蜜に訪れています。
 写真撮影をしたり、石をはぐったりして進みますが、結局それ以降は成果ゼロ。薄暗くなった金作原原生林の近くで、赤斑の多く出たシリケンイモリを採集して、宿泊地の北部のリゾートホテルに向かいました。

イジュの花
イジュの花で吸蜜するアサギマダラ
金作原周辺の原生林
金作原周辺の林道

 ホテルでチェックインを済ませ、事前に送っておいた夜間調査用具を受け取り、ビールを飲んで2時間程度の仮眠後、再度川内川源流部に向けて出発です。
 プールサイドで食後のひとときをのんびり過ごす観光客を後目に長靴姿で出かける我々を見て、ホテルのフロントマンが「クロウサギを見に行くんですか?」と、呆れ顔で尋ねます。おまけに、「先週あの辺で変死体が見付かったんですよねー。変なもの見付けないで帰ってきて下さいよ」だって。戦意を喪失させる甘いお言葉に後ろ髪を引かれつつ、昼の道とは逆コースで金作原原生林に向かいました。道を何回も間違えながらやっとの思いで到着したのが12時を回った時間。
 仕方なく金作原周辺で2時間程度観察を行いました。
 で、何が見られたのかって?
 樹間からゆらめく青白い人影が・・・ではなくて、水溜まりでゆらめく黒いキ印君達だけでした。



産卵中のアマミシリケンイモリ


赤斑が多く出ている雌

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文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
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