さくちゃんの生きもの便り(その11)
 
●晩秋の沖縄本島山原(ヤンバル)生きもの紀行 その1

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 11月26日から3日間、沖縄本島に行って来ました。今年になって2度目の沖縄旅行なのですが、晩秋の沖縄本島は初めての経験です。しかも、アシスタント役は妻です。考えてみると久しぶりの2人旅で、長女が産まれてからだから、かれこれ10年来の事となります。妻は、結婚する前から蝶の採集や観察等に付き合ってくれて、色々な生きものを見つけてくれていました。長らく妻の才能を忘れていましたが、前回の沖縄や丹沢等での生きもの観察においても、色々な生きものを見つけてくれて、妻の才能を再確認しました。
  今回の生きもの便りは、前回の「沖縄本島山原(ヤンバル)生きもの紀行」で紹介できなかった生き物を中心にお話ししましょう。

11月26日

 前日に「パパとママは仕事で出張に行くのだから」と言って、子供達を妻の実家に預け、準備万端で26日を迎え、相変わらずの早朝に出発です。
  1便で羽田を発って、9時過ぎに那覇に到着。車のレンタルを済ませて、これまた相変わらずの牧志公設市場に直行です。2階の食堂で沖縄そばを食べて、1階の市場とその周辺で総菜等を買い込んで車を北部に向けて走らせます。

  今回は日にちが少ないため、初日からビシバシ調査する予定です。本命は野生状態で1度も観察した事がないイボイモリです。そこで、まず最初に向かったのは本部半島に隣接する瀬底島です。

瀬底島は過去の記録で、多くの雌が産卵地に集まった記録があり、今でも高密度に生息している可能性があるのですが、人為的に持ち込まれた可能性が高いため、今まで敬遠していた場所なのです。でも背に腹は代えられません。過去何回もの調査で見つけられなかった苦い経験と、初日にここで観察して余裕を持って山原で調査したい思いと、なによりミレニアムイヤーに一区切りつけたい思いで瀬底島への橋を渡りました。
  小さな島内を車で走りますが、それらしき場所が見つかりません。しばらくして、社寺林と小さな溜池が3つ有る場所を見つけました。ここが文献で示されている産卵場所に間違いなさそうです。これで、イボイモリは見つけたも同然。心に余裕を持って倒木や一抱えもある石をはぐっていきます。どんどんはぐっていきます。いた!!っと思ったらシリケンイモリです。でも、諦めずにどんどんはぐります。でもいません。いるのはシリケンイモリばかり。めぼしい倒木や石が無くなりました。今回もダメかなーと肩を落としつつ車に戻り、1日目の昼の部は終了です。
  宿泊地への移動の途中で、日本で一番大きなマダラチョウの仲間のオオゴマダラや世界で最大級のシロチョウの仲間のツマベニチョウルリタテハジャコウアゲハの幼虫等の写真を撮りながら宿泊地の奥間に到着しました。

  

オオゴマダラ

ルリタテハ沖縄亜種の幼虫

ジャコウアゲハ沖縄亜種の幼虫

シリケンイモリ
ツマベニチョウ

 夕食をすまし、少し休憩をして7時を回った頃からヤンバルの森に出動です。走り慣れた林道に向かいますが、なんだか何時もと様子が違います。まず、寒い!しかも落ち葉がカサカサと音を立てるほど乾燥している!風も強い!あーあ・・・両生・は虫類の観察には最悪のコンディションです。でもそこは沖縄、ヤンバルの森。少いながら色々な生きものが姿を現してくれます。林道に入るとリュウキュウカジカガエルやヒメアマガエルが車に驚いて飛び跳ねます。今年孵化し上陸したと思われる幼体のハナサキガエルやホルストガエルも沢山います。背中が緑色の美形のハナサキガエルの成体を見つけて写真撮影。茶色のタイプもいたなと思って近づいてみると、これが初めて見るリュウキュウアカガエル。これも難なく写真を撮ることができました。寒さのせいで動きが鈍いようです。


ヒメアマガエル

ハナサキガエル幼体


ハナサキガエル(緑色タイプ)

リュウキュウアカガエル

  河原に降りてみるとアカマタの幼蛇ガラスヒバアが今年上陸した小さなカエル達を狙っていました。ヤンバルの守り神、ハブも鎮座していました。捕虫網でツンツンとつついてからかった後で、カメラを持って近づいて行ったのですが、一瞬目を離した隙に視界から姿を消してしまいました。こりゃやばい!その場を早々に退散して今夜の観察は終わりにしました。



アカマタ(幼蛇)


ガラスヒバア

晩秋の沖縄本島山原(ヤンバル)生きもの紀行 
 その2、その3に続く
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  その3へジャンプ(イボイモリの解説)
オキナワキノボリトカゲの幼体 その2で登場!

文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
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