Ikimono Dayori sono88
ツクバハコネサンショウウオ観察記−1
ハコネサンショウウオ(Onychodactylus japonicus)は、国内に1種が生息していると思われていましたが、近年の分子系統学的解析から複数の隠蔽種が含まれていていることが分かり、2012年に東北地方北部の個体群がキタオウシュウサンショウウオ(Onychodactylus nipponoborealis)に、2013年に筑波山系の個体群がツクバハコネサンショウウオ(Onychodactylus tsukubaensis)、四国と中国山地の一部の個体群がシコクハコネサンショウウオ(Onychodactylus kinneburi)と、それぞれが独立種として記載されました。また2014年にはタダミハコネサンショウウオ(Onychodactylus fuscus)とバンダイハコネサンショウウオ(Onychodactylus intermedius)が新たに新種記載され、現在国内には6種が生息しています。
ハコネサンショウウオ属分布図
横浜から日帰り可能な筑波山の個体群が新種として記載されたので、2013年7月に写真家の前田さん達と、2014年6月には記載者の吉川さん達と観察に行ってきました。
ツクバハコネサンショウウオの形態的な特徴は、ハコネサンショウウオ属の他種に比べて尾が短く、幼生の体に銀白色の斑紋が多く、尾の背側にはっきりした黄条があります。
横浜から筑波山までは常磐自動車道を使って2時間半内外。林道が沢を横断する箇所に車を停め、ザックに昼食やカメラなどを入れて沢を上ります。
筑波山
ツクバハコネサンショウウオが生息する沢
今までの経験から、ハコネサンショウウオ属の幼生は、主に流水の中でも比較的流れの緩やかな水際や水深の浅いところにある石の下に潜んでいることが分かっています。石を片手でゆっくり持ち上げながら幼生を探すと、全長3cm位の幼生から上陸直前の7cm位の幼生が姿を現します。
ツクバハコネサンショウウオ幼生(Onychodactylus tsukubaensis)
ハコネサンショウウオ幼生(Onychodactylus japonicus)
確かにハコネサンショウウオの幼生と比べて体に銀白色の斑紋が多く、尾の背側にはっきりした黄条があります。
参考のためにハコネサンショウウオの幼生の写真も載せておきましょう。
これらの幼生を撮影し、沢の源流部まで上って成体を探しましたがこの日は見つけることができませんでした。