Ikimono Dayori sono85
タゴガエルとブチサンショウウオ観察記−1
5月2日から4日まで、宮島にある実家に帰省しました。
久しぶりにのんびりした帰省なので、宮島や中国山地で生きもの観察を行いました。
実家に荷物を置いて、まずは弥山に登ってみることにします。
厳島神社の後背地にあり古くから信仰の対象だった弥山は、手つかずの自然が残存し、暖温帯性針葉樹のモミと南方系高山植物のミミズバイが混生したりヤグルマの群落が分布したりするなど、特異な植物・植生の分布が見られ、「弥山原始林」として国の天然記念物に指定されています。
登山道をゆっくり進みながら、開花しているクロバイ、キシミ、ヤブツバキ、ウリハダカエデなどを観察したり、林床のサンヨウアオイ、フデリンドウ、ナンヨウウラシマソウ、マムシグサなどを撮影したりして楽しみます。
弥山原始林の樹冠
クロバイ
ヤブツバキ
ウリハダカエデ
サンヨウアオイ
フデリンドウ
ナンヨウウラシマソウ
マムシグサ
沢沿いの道に差し掛かると、「グルッークククク」とカエルの鳴き声が聞こえてきました。
タゴガエルの鳴き声です。
この季節の宮島の沢では、いたるところからタゴガエルの鳴き声が聞こえます。
タゴガエルは、主に山地の森林内の渓流付近に生息していますが、原始林の残る宮島では、海岸付近にも生息しています。繁殖期は4月〜5月で、渓流近くの伏流水に白くて大きな卵からなる卵塊を産みます。孵化したオタマジャクシは、餌を食べないで蓄えられた卵黄の栄養のみで成長し変態するため、幼体は1cm以下の非常に小さい子ガエルで上陸します。
日暮れを待って、タゴガエルの観察です。
懐中電灯とカメラを持って鳴き声の聞こえる沢に向かいます。
伏流水が流れ出る崖で、複数の成体が鳴いています。岩の外で鳴いている個体もいます。
これらを撮影し、崖に堆積した落ち葉を慎重に取り除いて岩の割れ目を覗きこむと、割れ目の中の水溜りにいくつかの卵塊が見えます。
卵塊を撮影後、もとの場所に戻して観察終了です。
寝そべったりしながら撮影していたため、泥んこになってしまいましたが、楽しい夜になりました。
タゴガエル(Rana tagoi tagoi)成体
タゴガエル(Rana tagoi tagoi)卵塊
クロバイ