Ikimono Dayori sono85
タゴガエルとブチサンショウウオ観察記−2
5月3日は宮島水族館のT氏を案内して、広島県の北西部、山口県と島根県の県境に位置する冠山にブチサンショウウオの観察に出かけました。
新緑が美しく、渓流から心地よい水音が聞こえてきます。林道脇に咲く草花を観察しながらゆっくり上るのも楽しみの一つです。
林道脇の崖にはいつものようにイカリソウやショウジョウバカマが開花しています。
ショウジョウバカマ
これらの草花の写真を撮影しながら冠山の登山口に到着です。
ここからは長靴に履き替えて、渓流沿いの登山道を進みます。
静かな木漏れ日を浴びて水色のヤマエンゴサクの花が輝き、薄暗い林床ではひっそりとエイザンスミレやミヤマカタバミなどが可憐な花を咲かせています。
ヤマエンゴサク
エイザンスミレ
ミヤマカタバミ
シダの仲間
生きものの話をしながら1時間ぐらい歩いたところで、1年前に多くの成体や卵嚢を観察した支沢に到着。
でも、何だか様子が変です。沢に沿って林道が整備され、環境が一変しているではありませんか。樹木は伐採され、林道の盛土で沢の一部が埋まっています。
以前の環境
林道が整備され悪化した環境
可能性は低いのですが、まずはこの沢から調査開始です。
荷物を置き支沢の下流側から、可能性のありそうな石をバールを使ってひっくり返していきます。
調査を始めてしばらくすると、石の下から複数の成体が現れ、その石の裏に産み付けられた複数の卵嚢を見つけました。
この沢で少し遅めの昼食をとって、別の沢も調査して成体6匹と複数の卵嚢を確認しました。
ブチサンショウウオ(Hynobius naevius)卵嚢
ブチサンショウウオ(Hynobius naevius)成体
ブチサンショウウオの観察はこれで終了。
後は、ハコネサンショウウオの幼生を観察しながら下山。
バスに揺られながら心地よい疲労感に抱かれて、「神々が宿る島」宮島に帰ることにしましょう。
2015年7月7日 さくちゃんこと佐久間聡
イカリソウ