Ikimono Dayori sono81
ヒダサンショウウオ観察会
2013年1月4日金曜日と1月12日土曜日の2回、ヒダサンショウウオの成体観察に行ってきました。
ヒダサンショウウオは、本州の関東以西に分布する、本州西部を代表する流水産卵性のサンショウウオです。
止水産卵性のトウキョウサンショウウオ等と比べると大型で、体色や斑紋の変異が著しいのですが、背面に不規則な細かい橙黄色の斑紋が散りばめられた綺麗なサンショウウオです。
関東の個体は、地色が青みがかっていることが多く、橙黄色の斑紋とのコントラストが強く感じられます。
ヒダサンショウウオの成体は、気温と水温とが逆転する(水温の方が高くなる)12月頃から渓流に集まり、地域によりますが2月から4月にかけての繁殖期に渓流内の大きな石の裏に1対(2房)の卵嚢を産卵します。産卵を終えた雌は、直ぐに渓流を離れ樹林地へと帰っていきますが、雄は繁殖期が終わる4月頃まで雌を待ち受けています。
孵化した幼生の多くは、渓流内で越冬し翌年の夏頃に幼体となり上陸します。
したがって、幼生は通年渓流内で観察することが出来るのですが、成体の観察は概ね12月から4月頃、卵嚢の観察は2月から5月頃に限られます。
2013年1月4日
1月12日のヒダサンショウウオ観察会の下見に行ってきました。
メンバーは、西多摩自然フォーラムのigaちゃんとUさん、妻のお貴さんと私の4人です。
JR武蔵五日市駅に集合し、車で登山道口まで移動です。
長靴に履き替え、ザックにカメラや昼食を入れ込んで、バールを杖代わりに登山道を歩くこと40分で、目的の沢に到着です。
ここから石をはぐり、沢を詰めながら成体を捜します。
30分ぐらい経過したでしょうか。
大きな石の下から、斑紋が比較的多く綺麗なヒダサンショウウオ成体が姿を現しました。
渓流産卵性サンショウウオの観察は、大きな石をひっくり返して捜すため、肉体労働なのですが、石の下やガレ場の中から「グニョ〜」っと出てきた瞬間は、何度体験しても感激します。
写真撮影後、皆に見せるために一時捕獲し、ひっくり返した石は元あったように戻しておきます。
その後、成体2匹とナガレタゴガエルを追加した時点で、ヒダサンショウウオが潜んでいそうな石も無視し、先に進んでいたメンバーと合流することにしましょう。
先に進んでいたigaちゃんは、成体1匹と越冬幼生を見つけ、Uさんとお貴さんは、ナガレタゴガエルが観察できたようです。
全員が合流した時点で、撮影タイム。
成体を沢に放しながら、それぞれがお好みのアングルで写真撮影しているようです。
ヒダサンショウウオ(Hynobius kimurae)成体とヒダサンショウウオを撮影するメンバー
メンバーが撮影している間に、石はぐりをしながら上流に向かいます。
いくつかの石をはぐった時のことです。思いがけず白い虫が石陰に逃げ込むのが見えました。
生きもの便り初登場のガロアムシです。
ガロアムシは、ガロアムシ目の昆虫の総称で、日本からは8種が知られています。
肉食性の昆虫で、小さな昆虫や節足動物等を捕食して成長します。
体は細長く、黄褐色などの薄い色をしていて、成長すると2cmぐらいになります(今回見つけた個体は約2.5cm)。
主に山間部や森林中の水辺近く等の湿潤で冷涼な環境の地中や倒木や、石の下などに生息していため、目にすることの少ない昆虫です。
この個体は、飼育するために採集しました。
ガロアムシ(Grylloblattodea sp)
今回は、ヒダサンショウウオ観察会の下見が目的のため、調査はこれぐらいにして下山することにします。
採集したガロアムシは、1月25日時点でアカムシ等を食べて生きています。