Ikimono Dayori sono72
ウマノオバチの棲む林 page2
2010年 春
待ちに待ったウマノオバチのシーズン到来です。
去年 見つけたウマノオバチの棲む林に出かけてみることにしましょう。
シロスジカミキリとオオスズメバチ
歩きなれた里道を歩き、林に分け入ります。
早速、羽化したばかりのシロスジカミキリを見つけました。
シロスジカミキリの脱出口でオオスズメバチが樹液をなめています。
肝心のウマノオバチは発生しているのでしょうか?
いました・いました。
葉や幹で休んでいる個体、産卵行動中の個体など、たくさんの個体を観察することができます。
期待はしていたのですが、ここまで多くの個体が発生しているとは・・・・まさに奇跡の林です。
たくさん写真撮影したので、その一部をお見せしましょう。
葉や幹で休むウマノオバチ♀ |
幹に飛来したウマノオバチ♀ |
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葉裏で休むウマノオバチ♀ |
産卵行動も観察したのでお見せしましょう。
シロスジカミキリの発生木に飛来したウマノオバチは、幹を歩きシロスジカミキリの幼虫が潜む穴を探します。
シロスジカミキリの幼虫が潜む穴を見つけると、頭から穴の中に進み、穴の中の木屑を外に掻き出す行為を繰り返します。
この行為が終わると、体を入換え、産卵管を穴の中にいれ、後退りしながら穴の中に入っていきます。
完全に穴の中に体が入ってしまうこともあます。
穴の中で産卵するため、実際に産卵が行なわれたのかは確認できませんが、このようにして産卵が行なわれるものと考えられます。
掌のウマノオバチ
手にとって撮影したウマノオバチの写真もお見せしましょう。
産卵管の長さが実感できると思います。この個体は頭から産卵管の先端までで19.5cmもありました。
さて、この林には、ウマノオバチと同じコマユバチ科のヒメウマノオバチ(Euurobracon breviterebrae Watanabe, 1934)が生息していることも確認しました。
ヒメウマノオバチは、体色はウマノオバチとほぼ同じなのですが、はるかに小型で、産卵管も20mm程度と短いです。
ヒメウマノオバチはアオスジカミキリの幼虫に寄生することが知られていますが、この林にはアオスジカミキリの寄生樹木のネムノキやアカシヤは生育しておらず、アオスジカミキリも未確認です。
おそらく、他のカミキリムシの幼虫にも寄生し、発生しているものと考えられます。
ヒメウマノオバチ
今シーズンのウマノオバチの観察も終わりに近づいてきています。
この林では、ウマノオバチに代わり、カブトムシやクワガタムシが樹液の群がることでしょう。
2010年5月28日 さくちゃんこと佐久間聡