その58 カエル池プロジェクト−2
Ikimono Dayori sono58
カエル池プロジェクト Page1

 2008年4月12日、待ちに待った我らがカエル池の観察会の日です。
 事前の調査で、多くのヤマアカガエルやトウキョウサンショウウオの産卵が確認されているため調査をするのが楽しみです。
 でもその前に隣接している谷戸でトウキョウサンショウウオの生息状況確認調査を行います。
 この谷戸は1999年の調査で36房(18対)の卵嚢が確認されているのですが、いくら捜してもトウキョウサンショウウオが繁殖できそうな止水環境がありません。乾燥化が進んで繁殖環境が消失してしまったようです。
 結局1卵嚢も確認する事ができませんでした。
 残念ながら、調査票には以下のコメントを記述しました。
 卵嚢確認数:
 理   由: 繁殖環境の消失
 コ メ ン ト: 繁殖環境の消失に伴い、本谷戸を繁殖地とするトウキョウサンショウウオ局所集団は絶滅したものと思われる。
 
 今年のトウキョウサンショウウオ一斉調査で、何回このコメントを記述したでしょうか。 今年の渇水期に浚渫するポイントがまた一つ増えました。
乾燥化の進んだ谷津田
乾燥化の進んだ谷津田

 さて、次はいよいよカエル池とその谷戸の調査です。
 まずは、カエル池の周辺から調査してトウキョウサンショウウオの卵嚢15房と成体4個体を確認しました。産卵直後の卵嚢も見つけました。薄紫に輝いてとても綺麗です。
 成体は、カエルツボカビスワブ調査を行うためにバットに入れて一時捕獲です。
 次はカエル池の調査です。下流側の池から調査を行います。ヤマアカガエルのオタマジャクシが沢山泳いでいるが見えます。
 3月下旬に行った河村さんとひださんの事前調査ではトウキョウサンショウウオの卵嚢67房と複数のヤマアカガエルの卵塊を確認しているため、三桁は硬いだろうとの皮算用だったのですが・・・・・。

トウキョウサンショウウオの卵嚢と成体 スギの葉に産み付けられた産卵直後の卵嚢
トウキョウサンショウウオの卵嚢と成体
スギの葉に産み付けられた産卵直後の卵嚢

 ところがどっこい、どうも様子が変です。
 いくら詳細に調査しても、カエル池では、ここ数日内に産卵したと思われる卵嚢を含めて27房しか見つかりません。
 どうも、心無い人によってごっそり持ち去られてしまったようです。
  大量に持ち去るところからすると、おそらく換金目的だったのだろうと思います。
 野生動植物がお金にしか見えない心貧しき人に、怒りを感じるより、哀れみを感じてしまいます。
 さて、ここでめげても仕方ありません。
 今年の冬にも沢山池を掘って、少々持ち去られても影響が少ない繁殖環境をつくることにしましょう。
 一通り調査を終えて昼食をとっていると、カエル池から何かが顔を出しました。
 よく見るとアズマヒキガエルの成体です。しかも2匹!

アズマヒキガエル 死んだふりをするアズマヒキガエル
アズマヒキガエル
死んだふりをするアズマヒキガエル

 今年は、アズマヒキガエルの産卵は確認できなかったので、来年は繁殖するかもしれません。
 来年の楽しみができました。
 さて、バットに入れて一時捕獲していた成体のカエルツボカビスワブ調査を行ってカエル池にリリースし、今日の調査を終えることにします。

カエルツボカビスワブ調査風景
タチツボスミレとコナラの発芽
左上:カエルツボカビスワブ調査風景、左下:タチツボスミレとコナラの発芽

 足元には、タチツボスミレが可憐な花を咲かせ、アカネズミが食べ残したコナラの実から芽が出ていました。
 お金には替えられない豊かな気持ちに包まれ、思わず顔がほころびます。
 これからも、心豊かな仲間達と、共働作業を続けて行きたいと思っています。

2008年4月15日 さくちゃんこと佐久間聡


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文と写真:佐久間 聡(さくま さとし)
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